J1第2ステージ8節の鳥栖対川崎戦で「今季最短退場」の記録が生まれた。
主役は川崎の三好康児だ。川崎の1点ビハインドで迎えた79分、風間八宏監督は武岡優斗に代えて19歳のアタッカー・三好を投入。攻撃の活性化を図ったが、その5分後に思わぬアクシデントが起きた。
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84分、ハーフウェーライン付近のこぼれ球に鳥栖のキム・ミヌが反応。やや遅れて飛び込んだ三好が左足を伸ばすと、キム・ミヌがピッチに倒れ込む。松尾一主審は迷わずにレッドカードを提示し、三好は一発退場となった。
三好が伸ばした左足の裏がキム・ミヌの太ももに接触し、足裏を見せた危険なプレーと判断された形だ。三好はすぐさま主審に猛抗議したが、結局、判定は覆らなかった。
途中出場からわずか5分後の退場劇――。これは今季J1最短記録だった。今季のJ1で「途中出場&一発退場」は6人のみ。プレー時間の短い順に並べたのが以下のリストだ。
■2016年「途中出場&一発退場」
<左から順位、途中出場後のプレー時間、名前(所属)、対戦相手>
1位 5分 三好康児(川崎) 対鳥栖(2nd・8節)
2位 20分 平山相太(FC東京) 対名古屋(1st・5節)
3位 24分 富山貴光(鳥栖) 対FC東京(1st・12節)
4位 25分 ダヴィ(甲府) 対川崎(2nd・7節)
5位 38分 茶島雄介(広島) 対湘南(1st・3節)
6位 51分 大塚翔平(川崎) 対磐田(1st・14節)
三好の退場により反撃ムードを断ち切られた川崎は、今季2敗目を喫し、不敗記録もついに16試合で途絶えた。勝負どころのワンプレーが試合の趨勢を決定づけた感もあるが、この場面には“ある疑惑”が残る。それを写真で検証していく。
84分の場面については前述したとおりだ。三好が左足を伸ばし、スパイクの裏がキム・ミヌの太ももに接触。倒れ込むキム・ミヌを見て、主審は三好にレッドカードを提示した。
しかし、写真は“ある瞬間”を切り取っている。それは、キム・ミヌの見えざる報復だ。写真1は、三好の左足が接触した瞬間で、間違いなく太ももに当たっている。
問題は写真2だ。実は三好の足が接触した直後、キム・ミヌも左足の裏を三好の腹に入れていたのだ。主審の位置からこの場面を見ると、ちょうど三好の背中が隠す形となり、キム・ミヌの“報復”は見えていない。だが実際は、足の裏が三好の腹部に接触している。
三好が主審に抗議した場面では、自身の腹を指さしながら「キム・ミヌの足裏が腹部に当たった」と訴えていたのだ。足の裏を相手に向けたという点では同罪ながら、処分は一方にのみ下された。
三好の“今季J1最短退場”の背景には、報復疑惑が依然として残る。
取材・文:大木勇(サッカーダイジェスト編集部)
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