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【天津爆発から1年】
爆心地でなお続く埋め立て 「生態公園」に整備するというが… 地元住民「凄惨な記憶はまるで昨日のことのよう…」
173人の死者・行方不明者を出した中国天津市港湾地区の大規模爆発から12日で1年を迎える。当局は爆発跡地に「生態公園」(エコパーク)を整備する計画だったが、完成予定の7月末を過ぎても現場ではいまも爆心地の巨大な穴を埋め立てる作業が続いていた。(天津 西見由章)
昼夜問わず作業
市中心部から南東へ約50キロ、天津港に面して工場や倉庫が立ち並ぶ浜海新区。広大な爆発跡地はフェンスに囲まれ、ダンプカーがひっきりなしに土を搬入していた。
当局が今年2月に発表した調査報告書によると、爆発した「瑞海国際物流有限公司」の倉庫周辺には猛毒のシアン化ナトリウム680トンを含む計1万トン以上の危険物が保管されていた。 現在は爆発によりできた直径約100メートルの穴を重機によって埋める作業が昼夜を問わず続いている。50代の男性作業員は「汚染土の搬送作業は終わったが、まだ荒れ地だ」と話した。
ゴーストタウン
爆心地から数百メートルと最も近い距離にあるマンション群「海港城」では、割れた窓や外壁はほぼ完全に改修され、表面上は新築物件のようだ。
ただ事故前は約3千戸がほぼ満室だったとされる海港城に、工事関係者以外の人影は見当たらない。マンション関係者の男性は「7月から入居が始まり、70~80戸が入居した。水も変なにおいはしないし、1年経っても自分の体に変調はない」と安全性を強調する。