オリンピックを足場に活発なスポーツ外交を行うとの期待がかけられていたにも関わらず、外交面でこれといった成果を出せなかったことも、崔竜海氏が帰国した原因の1つとみられている。崔竜海氏は現地に到着した直後、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長主催の晩餐会に出席し、各国の首脳クラスやIOC委員らと握手を交わしながら談笑したが、それ以外の外交日程はなかった。北朝鮮の朝鮮中央通信は7日、崔竜海氏がブラジルのテメル大統領代行と会談したと報じたが、後にブラジル政府はこれを正式に否定したため、北朝鮮は面子を潰されている。
崔竜海氏の滞在するホテルがメディアに公表され、これに大きな負担を感じたとの見方もある。リオデジャネイロ郊外の滞在先が報じられた直後から、一行は外からの電話を遮断するなど神経質な態度を取ってきた。韓国政府関係者は「金正恩氏は自らの権力を安定させるためオリンピックでの好成績を望んでいたが、それが思い通りに行かなかった。そのため崔竜海氏と北朝鮮選手団は自己批判書を書かされるか、あるいは政治的責任を負わされる可能性もあるだろう」とコメントしている。