リオデジャネイロ・オリンピック北朝鮮選手団の団長としてブラジルに滞在していた崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長が、現地時間の11日午前1時30分に突然出国した。崔竜海氏は当初もう1日現地に滞在する予定だったため、突然の帰国に様々な憶測が飛び交っている。
崔竜海氏は10日夜10時30分頃にリオデジャネイロ国際空港に到着し、貴賓室で3時間ほど待機してから航空機に搭乗したという。警護を行ったブラジル警察の担当者は「政府から招待を受けるような貴賓がこれほど早く空港に来て長い時間待機するのは珍しい」とコメントしている。一行はリオデジャネイロ郊外のホテル10階に2つの部屋を借り、11日まで滞在する予定だった。
崔竜海氏が帰国を前倒しした理由については、何よりも北朝鮮選手団の成績不振が考えられる。朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は権力掌握直後から「体育強国を通じた社会主義強国建設」を力説してきたため、今回のオリンピックでも過去最高の成績を出し、その実績を体制や権力基盤の強化に利用したいと考えていたはずだ。またオリンピックに先立ち金正恩氏が「金メダル5個以上」を選手団に指示したことも伝えられている。
ところが11日の時点で北朝鮮が獲得したメダルは銀2、銅2で金メダルはまだ1個もない。ちなみに2012年のロンドン大会で北朝鮮は重量挙げで3個、柔道で1個の計4個の金メダルを獲得し、総合20位に入った。崔竜海氏はブラジル滞在中、北朝鮮の金メダルが期待された重量挙げ、アーチェリー、卓球、飛込みなどの会場を回りながら必死で応援を続けた。崔竜海氏は北朝鮮選手たちの競技中は拍手を送りながら熱心に応援していたが、敗れた瞬間には失望の表情をあからさまにし、これが各国メディアのカメラに何度もとらえられていた。