韓経:【時論】「アジア時代」堅固にしてこそトランピズムの波乗り越える=韓国

韓経:【時論】「アジア時代」堅固にしてこそトランピズムの波乗り越える=韓国

2016年08月12日15時01分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
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  米国共和党大統領候補ドナルド・トランプ氏は、自身が当選すれば韓米自由貿易協定(FTA)の再調整、在韓米軍の撤収または防衛分担金の再調整を推進するなどの主張をしている。これは一言でいえばこれまでの韓米秩序を根底から揺るがすものといえる。トランプ候補が米国大統領になるかどうかは見守らなければならないが、問題はこのような主張に少なくない米国人が支持を送っているという点だ。米国大統領候補の口からなぜこのような主張が出てきているのだろうか。

  1980年代以降、金融自由化が強調されながら主な企業の株式がゴールドマンサックスやリーマンブラザーズなど米国の代表的投資銀行(IB)に集中し、主要企業の経営権は事実上これらの投資銀行に布陣した少数の代表株主が掌握した。専門経営者が主導する経営時代から専門経営者が少数の代表株主の支配を受ける経営時代へと変わった。経営環境が変わりながら専門経営者は少数株主の利益を最大化する方向へと経営活動を広げた。収益性が低い分野は大胆に撤廃・縮小して収益性の高い部門に経営資源を集中した。このように米国、英国などのアングロサクソン諸国は株主資本主義、すなわち「ニューエコノミー」を強化した。非能率的な低賃金労働者を退出させて派生金融商品を多様な形態で生産して出した。

  また情報化技術の発達と共に勝者一人占めが普遍化しながら経済的な富は少数の大株主と高級技術経営者に集中して大多数の労働者は中上層から中下層へと没落していった。これは2008年米国発の金融危機を引き起こした。中下層グループはサブプライムモーゲージの支払能力を失ってサブプライムモーゲージを担保に発行された一連の派生金融商品の崩壊を招いた。

  当時ベン・バーナンキ米国中央準備制度理事会(FRB)議長は金融システム崩壊を防ぐためにかつて経験したことのない金融の大量散布を断行した。このような努力によって米国経済は回復中だといえる。しかしニューエコノミーの展開過程で企業らは海外から労働者を受け入れたり低賃金国の低い賃金を活用した部品類などを大量輸入したりすることによって結果的に米国経済は少数の高所得グループと多数の低所得グループに二分化され、深刻な貧富の格差が構造化された。極端な貧富の格差を是正する方法として民主党大統領候補に出たバーニー・サンダース氏は少数の「持っている階層」の負担を増やして低所得層に対する社会保障を拡充すべきだと叫んだ。トランプ氏は移民の抑制と相対的低賃金国からの輸入を抑制する方法で不均衡を解消しようとしている。サンダース氏の不均衡是正方法は民主党候補に確定したヒラリー・クリントン氏によって相当部分採択されたので米国で誰が大統領になろうが保護貿易主義は強化されると予想される。特にトランプ氏が大統領になる場合、韓国経済に及ぼす影響は途方もないものと思われる。

  世界の通商秩序の特徴を調べればアジア諸国は市場が大きい米国との通商を拡大してきたことが分かる。米国は国際通貨であるドルを持って韓日中などから質の良い工業製品を大量輸入し、物価安定と高い厚生水準を実現している。

  アジア諸国は米国経済に依存的だが、米国経済とアジア経済という側面で見れば米国がアジア経済に依存していると言える。アジア諸国がトランプ式のごり押しを防ぐ方法は現在の通商秩序を修正して欧州連合(EU)のように東アジアを中心にアジア諸国の間の内部経済を拡大することだ。米国経済と対立してはいけないがアジア諸国としては韓日中を中心にした内部経済を強化してこそ経済的自立度を高めることができる。そのような意味でアジア領域内の国家が主人公になるアジア時代を前倒ししなければならない。

  イ・ジョンユン韓日経済協会副会長
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