自民党がまとめた参院選(22日公示、7月10日投票)向けのビラの内容が分かった。ブルームバーグが入手した原稿によると、就業者数や外国人旅行者数の増加などを挙げ、アベノミクスの成果を強調する内容だが、野党側が争点と位置付けている安保法制や憲法改正には触れていない。

  ビラはB4版2ページ。1ページ目は有効求人倍率や税収など安倍政権下で好転した経済データを並べたほか、伊勢志摩サミット、オバマ米大統領の広島訪問の写真などを掲載。2ページ目は3日に発表した公約のうち、ゼロ金利を活用した低金利の財政投融資など経済政策、介護、子育て支援など1億総活躍関連、地方創生、災害対策での取り組みを盛り込んだ。

  選挙公約では憲法について「各党との連携を図り、あわせて国民の合意形成に努め、憲法改正を目指します」と記述。安保法制の施行で「あらゆる事態に切れ目のない対応が可能な態勢を構築」することなどで「わが国の抑止力の向上」に努める方針を示している。

  民進党の山尾志桜里政調会長は7日のインタビューで、自民党の選挙戦略について「安倍政権は選挙になると経済を打ち出し、選挙に勝つと安全保障を進める」と批判。憲法改正や安全保障政策を「隠された最大のテーマだということで国民のみなさんにお伝えしていく必要がある」と語った。参院選で民進党は安保法制の廃止で一致する共産党などと32の1人区で統一候補を擁立する。

  自民党の稲田朋美政調会長は3日、公約発表の記者会見で、参院選の争点としてアベノミクス、外交、安全保障を挙げたが、憲法改正については「もちろん党是であり、いま重要な課題」としながらも、今回の選挙で信を問う対象は消費増税延期をめぐる「新しい判断」だと語った。