北部で塩素ガスか 国連調査へ 特使「戦争犯罪」
シリア和平を仲介するデミストゥーラ国連特使は11日、シリア政府軍と反体制派の戦闘が続く同国北部の主要都市アレッポで、塩素ガスが兵器として使われた可能性が高いとして国連が調査する方針を明らかにした。デミストゥーラ国連特使は「もし使われたのであれば戦争犯罪にあたる」と指摘した。
英BBC放送などによると、反体制派が支配する地域に10日、たる爆弾が落とされ、4人が死亡し多数が負傷した。塩素ガスが使用されたとみられ、病院で負傷者が呼吸困難を訴えた。反体制派は、今回の爆撃でシリア政府軍が塩素ガスを使用したと主張している。
塩素ガスの兵器への使用は化学兵器禁止条約で禁止されているが、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査団報告書によると、シリアでは2014年4〜8月に塩素ガスが兵器として使用された。
国連安全保障理事会も15年3月、再び塩素ガスを使用すれば実行者に制裁を科すとする決議を採択している。
国連はアレッポで水や電気の不足が深刻化しているとして、援助物資を搬入したり、病人や負傷者を避難させたりするための「人道停戦」を1週間あたり48時間設けるよう関係各国に要請している。【渋江千春】