「少女像の隣の空いているいすは、この世を去った元慰安婦のおばあさんたちを象徴するものです」
今月2日、東シナ海を航行していた「ピース&グリーンボート」の8階の船室。旧日本軍の慰安婦を象徴する少女像を制作したキム・ウンソン氏(52)が、落ち着いた声で少女像の意味や歴史を説明すると、韓日両国の参加者約110人は一様にうなづいた。
この日の講演は、日本の市民団体「ピースボート」と韓国の「環境財団」が共同で運営するクルージング「ピース&グリーンボート」の船内プログラムの一環だった。「ピース&グリーンボート」は、韓日両国の市民たちが3万5000トン級のクルーズ船に乗り、日本と中国を航海する民間交流イベントだ。
ピースボートは吉岡達也代表(55)らが日本の教科書による歴史歪曲(わいきょく)に失望したのを機に設立した市民団体だ。1983年以来、世界各地を回るクルージングを実施し、韓国の光復(日本の植民地支配からの解放)60周年に当たる2005年からは、韓国の環境財団と共同で「ピース&グリーンボート」を実施している。東アジアの社会や文化、歴史、環境問題について模索しようという趣旨だ。これまでに約6500人が参加し、船上での講演や公演は1500回以上に上った。
今年は韓国と日本から550人ずつ、計1100人が参加した。参加者たちは先月30日から今月7日までの日程で、中国・上海の大韓民国臨時政府庁舎跡や南京大虐殺紀念館、慰安婦資料館、長崎原爆資料館、軍艦島(端島炭鉱跡)などを訪れた。
韓国から参加した評論家のチョン・クァンヨン氏、ソウル大学の高哲煥(コ・チョルファン)名誉教授、韓国人権財団のイ・ソンフン常任理事、イ・ジェソク広告研究所のイ・ジェソク代表らは、気候変動をテーマに船上討論会を開いた。
環境財団のチェ・ヨル代表は「民間レベルでこつこつと交流を続けていけば、冷え込んだ韓日関係も改善していくだろう」と話した。