2016年も後半戦に突入した。筆者が今年、ここまでに購入して満足しているスマート家電の1つが、ダイソンの「ピュア クール リンク」だ。“羽根のない扇風機”という革新を巻き起こしたピュア クールに、インターネットにリンクしてスマホアプリから「空気の質」がチェックできる機能を追加した、新しいタイプの空気洗浄機能付きの扇風機だ。実は4月末に発売されたばかりの新製品、ピュア クール リンクを本誌でレビューさせてもらう機会を得た。そのとき2週間ほど試用した際のレポートはこちらにまとめられているので参照していただくとして、短期間にわが家になくてはならない生活家電にまで存在感を増してしまったピュア クール リンクを、貸出機を返却した後、すぐさま購入してしまったのだ。
私も家族もハウスダストや花粉がめっぽう苦手なアレルギー持ちである。だから、もともと空気の質には敏感であるべきなのだが、恥ずかしいことに、ピュア クール リンクに出会うまでとくに具体策は講じてこなかった。春に自宅を引っ越したことを契機に、空気清浄機を導入したいと検討していたタイミングだったこともあるが、ダイソンがWHO/ヨーロッパ支社の文献を引用しながら紹介していた、「私たちが日々過ごしている家の中の空気は、実は屋外と比べて5倍近くも汚れている」という言葉に何となくビビってしまい、いよいよ空気の質にこだわる時が来たと思い立った。
実際にピュア クール リンクを導入してみて約2カ月。わが家の空気はキレイになっている実感が確かにある。スマホ専用アプリの画面に、1日の内に室内の空気が「きれい」であると表示される時間が比較的長いからという理由もあるが、例えば梅雨時のじめじめとする季節に窓を閉めきって外出して、帰宅したあとに部屋の空気が何となく臭うことが激減した。帰宅する1時間前ぐらいに、外出先からスマホアプリでピュア クール リンクを起動して、空気清浄機能をまわしておけば、部屋の空気が効率よくリフレッシュできて、いやな臭いもしなくなる。また、筆者は慢性の鼻炎持ちなので、朝、起き抜けにやたら鼻をかむ習慣があった。目覚める1時間まえ前ぐらいにピュア クール リンクが起動するようにセットしておけば、鼻をかむ頻度が格段に少なくなった。
ピュア クール リンクは、稼働中には室内の空気のコンディションを常にチェックしている賢い空気清浄機だ。本体のベース部分にはVOC(揮発性有機化合物)によるニオイと、ホコリをモニターするセンサーが内蔵されている。それぞれ多くの量を検知して場合は、空気洗浄の出力をアップして原因を取り除きにかかる。ある日、フローリングの床ふき用シート「クイックルワイパー」で床掃除をしていたら、シートに含まれるエタノールや香料成分が図らずも室内に散布されてしまったのを検知して、突然空気洗浄機のファンが強くうなりを上げ始めた。また妻がリビングでペディキュアを塗っているときにも同じようなことが起きて、「ああ、コイツもちゃんと頑張っているんだな」と頼もしく感じることがあった。
筆者はピュア クール リンクの空気清浄機として、あるいは扇風機としての機能には概ね満足している。夏真っ盛りのシーズンに入ってからは、寝室の空気を循環させるサーキュレーターとしても大活躍している。昨年の夏まで使っていた羽根つきの扇風機は、型式が古いからということもあるが、風量を弱めても風の指向性が強いので、肌に直接当たる風がストレスに感じられることもあった。目が覚めた直後も、寝汗が肌にまとわりついたまま扇風機で無理矢理乾かしたような状態になって非常に不快だった。
対してピュア クール リンクの風は分散性が高く、部屋の中にふんわりとした風が満たされるような感覚だ。風の質も肌に直接ぶつかるような感覚が少ない。風量は10段階で選択できるが、6畳の部屋で寝ているときは、弱い側の3〜4ぐらいの設定で十分な心地よさが得られる。さすがに猛暑日の夜は部屋の空気を冷やしたいのでエアコンも併用するのだが、エアコンの吹き出し口の下にピュア クール リンクを配置しておけば、部屋全体に涼しい空気がうまく循環する。最強のコンビだ。
だが一方で、ピュア クール リンクに注文を付けたいこともある。主にスマホ専用アプリ「Dyson Link」に関連する要望だ。現時点で実現できるベストの機能が盛り込まれていることを分かった上で、あえてアップデートなどによる今後の機能改善への期待を込めてポイントを指摘したい。
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