伊方原発3号機が再稼働
愛媛県にある伊方原子力発電所3号機は、12日午前9時、原子炉を起動する操作が行われ、再稼働しました。四国電力によりますと、これまでのところ、トラブルは起きていないということで、作業が順調に進めば、13日の朝には核分裂反応が連続する「臨界」の状態になる見通しです。
伊方原発3号機は、12日午前9時、中央制御室で、運転員が核分裂反応を抑える「制御棒」を引き抜くレバーを動かして原子炉を起動し、再稼働しました。
四国電力によりますと、32本の制御棒のうち、これまでに24本が引き抜かれ、残りの8本も半分まで引き抜かれていて、現在は原子炉の冷却水に含まれる核分裂反応を抑える成分の調整作業が続いています。
これまでのところ、トラブルは起きていないということで、作業が順調に進めば、13日の朝6時から7時ごろにかけて、核分裂反応が連続する、「臨界」の状態になる見通しです。そして、3日後の15日には発電と送電を始めて、来月上旬には営業運転に入る計画です。
伊方原発3号機が稼働するのは、福島第一原発の事故の1か月後に定期検査に入って以来、5年4か月ぶりで、起動の操作も平成22年3月以来、6年5か月ぶりに行われます。
四国電力はこの間、経験のない運転員が加わり、ベテランも実際の起動操作は久しぶりのため、設備の状況などを慎重に確認しながら今後の操作を行うとしています。
新しい規制基準の下で再稼働したのは、鹿児島県にある川内原発と福井県にある高浜原発に次いで3か所目で、このうち高浜原発は裁判所の運転停止を命じる仮処分の決定を受けて停止し、決定が覆らない限り、運転できない状態です。
運転を続けている川内原発についても、ことし4月の熊本地震を踏まえて、鹿児島県の三反園知事が再点検のため、一時停止することを九州電力に申し入れる意向を示しています。
こうした原発の安全性に対する根強い不安や懸念の声がある中で、伊方原発3号機は再稼働することになり、国や電力会社は安全対策の向上や十分な説明に継続して取り組むことが求められます。
中村知事「緊張感持って向き合う」
伊方原発3号機の再稼働を受けて、愛媛県の中村知事が県庁で会見し、「今後も緊張感を持って向き合っていきたい」と述べました。
会見で中村知事は、「福島第一原発の事故以降、原発は安全ではないという前提に立って、最新の知見に基づく新しい安全基準が作られ、それに適合できるのかどうかチェックが行われてきた。また、愛媛県が示した独自の追加対策にも対応してもらった。今後も大きな問題が生じたときは、改めてチェックや追加対策を求める必要があり、緊張感を持って向き合っていきたい」と述べ、引き続き、四国電力に対して安全対策の徹底を働きかけていく姿勢を強調しました。
所長代理「事故は絶対起こさない」
再稼働のあと、伊方原子力発電所の佐藤雅彦所長代理は、「やっとここまでたどり着いた。長かったが、確実に進めてきた結果だと感じている。福島第一原発の事故もあり、絶対の安全というのは非常に難しいこととは思っているが、われわれは何が起きても対応できるような措置をこの5年間でいろいろ取ってきた。事故を絶対に起こさないという心構えで今後も取り組んでいきたい」と述べました。
投稿者:かぶん | 投稿時間:12:05
| カテゴリ:科学のニュース
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