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 タイ中部の保養地や南部のリゾート地など5カ所で11日から12日にかけて爆発が相次ぎ、4人が死亡、外国人を含む少なくとも34人が負傷した。タイ警察は、イスラム過激派などによるテロの可能性を否定したが、治安維持を大義名分に独裁体制をしく軍や観光へのダメージは避けられない。

 12日はタイ王妃の誕生日を祝う「母の日」の休日。爆発はまず、11日午後3時ごろ南部トラン県で起き、1人が死亡、6人が負傷した。続いて午後10時ごろから王室の宮殿がある中部ホアヒンで2回の爆発があり、タイ人女性1人が死亡、欧州からの外国人を含む21人がけがをした。

 12日午前8時前から南部のリゾート地プーケットのパトンビーチ地区で相次いだ2回の爆発で、1人が負傷。同じころ南部スラタニ県では警察署前で爆発があり、1人が死亡した。さらに午前9時ごろホアヒンとパンガー県で爆発があり、ホアヒンで1人が死亡。多くが、即席爆発装置(IED)を携帯電話で遠隔起爆させるタイプだった。

 チャクティップ国家警察庁長官は南部のナコンシタマラート、クラビ両県で12日未明から午前に起きた商業施設の火災も発火装置によるもので、一連の事件と関連があるとの見方を示した。

 日本人が巻き込まれたとの情報はないが、タイには約7万人の在留邦人(届け出数)が暮らすほか、年間100万人を超える日本人が訪れる。在タイ日本大使館は事件を受けて、注意喚起のメッセージなどを数回にわたって発信した。

■警察、ISの関与は否定

 警察当局は不審者2人を拘束して事情を聞いているが、背後関係は不明だ。タイは国内に複雑な政治的、社会的対立を抱えており、真相解明には時間がかかるとみられる。

 警察は、過激派組織「イスラム国」(IS)などの過激派やタイ最南部で武力闘争を続けるイスラム武装組織の関与を否定した。警察が観光への影響に配慮したとの見方がある一方、タマサート大学のチャラン教授(イスラム研究)も「ISなどの過激思想の浸透や最南部の組織の活動の拡大は確認されていない。国内政治に起因する可能性もある」と指摘する。

 タイはこの10年余り、タクシ…

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