リオ五輪:安昌林「自分が負ければ在日コリアンが悲しむ」

男子柔道73キロ級3回戦負け

 オリンピック出場に向けた準備期間は長く厳しかった。韓国と日本のどちらにも属さない在日コリアンとしての立場。双方から露骨な、あるいは時には目に見えない差別を受けることも多かった。厳しい戦いを勝ち抜いて手にした韓国代表の座と世界ランキング1位の名誉。ところが勝負はあっけなく一瞬で決まった。長く夢見てきた韓国代表選手としてリオデジャネイロ・オリンピックに出場した安昌林(アン・チャンリム)=22=だが、勝負が決まった瞬間には何を思っただろうか。

 安昌林は韓国時間の9日朝に行われたリオデジャネイロ・オリンピック男子柔道73キロ級3回戦で、ベルギーのディルク・バンティヘルトに技ありで敗れた。相手の方が先に指導を取られたが、直後に突然の技ありを取られた。試合が終わった後、安昌林は厳しい表情で直ちに会場を後にした。

 今大会で安昌林は世界ランキング1位にふさわしくない結果に終わったが、在日コリアンとして差別に負けず、祖国である韓国の代表にまで上り詰めたそのストーリーは韓国はもちろん、日本でも大きな注目を集めてきた。

 安昌林の祖父は日本統治時代に家族を連れて韓国から日本にやって来た。父の安泰範(アン・テボム)さん(52)は京都で空手道場を開いていたが、3年前にやめて今は接骨院で働いている。母のナム・スンヒョンさん(50)は社会福祉士だ。両親がいずれも韓国籍のため、安昌林も自動的に韓国籍となった。安昌林は大学に入るまで韓国に来たことはないが、祖国への思いや誇りは誰よりも強かったという。安昌林は幼い頃から日本で通名は使わず、安昌林という本名で通した。小学校5年生の時に書いた「ぼくの夢」という作文には「韓国代表としてオリンピックに出場し金メダルを取ること」と書いた。

京都=チェ・インジュン特派員
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