News Up 『買われた』展 少女の“売春”の背景に何が

News Up 『買われた』展 少女の“売春”の背景に何が
かつて「売春」を経験したことがある少女たちが、その背景や自分たちの思いを知ってほしいと、写真や手記などを通して訴える「私たちは『買われた』展」が、8月11日から東京・新宿区で開かれています。
インターネット上には、開催の前から、少女たちの訴えを批判・中傷するツイートが多く投稿されていました。
こうした中、開かれた企画展。主催者は何を伝えたかったのでしょうか。
企画展は、少女たちを支援する一般社団法人Colaboと、北海道から九州までの各地で暮らす14歳から26歳までの女性24人が主催しました。かつて「売春」を経験した24人の体験を再現した写真や手記など、およそ100点が展示されています。
例えば、振り袖から見える腕に多数のリストカットの痕が残る写真。
家族から性的な虐待を受け続け、16歳の時に売春をし、自傷行為を繰り返した女性が20歳まで生きてきた証しとして撮影したといいます。

「そこに至るまでの背景がある」

企画展は、少女たちを支援する一般社団法人Colaboと、北海道から九州までの各地で暮らす14歳から26歳までの女性24人が主催しました。かつて「売春」を経験した24人の体験を再現した写真や手記など、およそ100点が展示されています。
例えば、振り袖から見える腕に多数のリストカットの痕が残る写真。
家族から性的な虐待を受け続け、16歳の時に売春をし、自傷行為を繰り返した女性が20歳まで生きてきた証しとして撮影したといいます。
15歳の女子中学生の手記には、食べるものもなく、また、親の暴力に怯えながら生活する中、売春するようになった経緯が次のように綴られています。「母親が家に帰らなかったため妹と2人で駅前に立ち、食事を与えてくれる人を探した。母親が再婚すると暴力をふるわれた。ある日、街で見知らぬ男に『どうしたの?』と声をかけられ、事情を話すと『お腹すいてるでしょ』と言い、コンビニでおにぎりを買ってくれた。コンビニを出ると手をつないできて、男の自宅に着いた。抵抗したら殴られると思い、抵抗できなかった。家にいられないとき、声をかけてくるのは男の人だけだった。頼れるのはその人たちしかいなかった」

ネット上には中傷が

この企画展の開催を前に、インターネット上には少女たちの訴えを批判・中傷するツイートが多く投稿されました。
中には、「自分の意思で売ったんだろ」「被害者面するな」という声もありました。

「売春」は気軽に??一石を投じたい

主催したColaboの代表、仁藤夢乃さんが、今回の企画展を開くことにしたのは、少女たちを批判するツイートに象徴されるような、世間のイメージに一石を投じたいと考えたからです。
ある大学で講演をした際、学生たちに売春をする少女のイメージを尋ねたところ、「快楽のため」「その場かぎりの考えで気軽に」「好きでやっている」という意見が相次いだことがきっかけの1つでした。
仁藤さんは支援する少女たちとの関わりの中で、売春に至るまでには、虐待や貧困など、さまざまな背景があることを知っていました。だからこそ、今回のネット上の反応を知り、多くの人に会場に足を運んでもらい、「実態を知ってほしい」と考えています。

参加した少女たちの思い

では少女たちは、何を伝えたいと考えているのか。
記者が会場で取材したところ、次のように話していました。

すみれさん(仮名/18)
「これまで『買われた』過去を隠して生きてきましたが、一生懸命、自分の過去と向き合おうとする他の子を見て私も向き合いたいと思いました。もっといろんな人に知ってもらいたい」

なおさん(仮名/16)
「暴力や虐待などつらい思いをしている人がいる。好きでやっているのではなく、せざるをえないこともある。思い出したくないし、怖かったけど、写真を載せることで伝わればいいなと思いました」
Colaboの仁藤夢乃代表は、ネット上の批判も、少女たちのことが理解されていない今の社会の現実だと感じています。その上で「自己責任と捉えられることが多いが、彼女たちの責任だけではなく、さまざまな問題が背景にある。彼女たちの姿を伝えることで、その背景に目を向ける人が増えてほしい」と話しています。

「私たちは『買われた』展」は、8月21日まで、東京・新宿区の「神楽坂セッションハウス」で開かれています。

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