日本でもジワジワと認知度が高まりつつあるSnapchat(スナップチャット)。
アメリカやヨーロッパなど、すでに海外では主要なSNSの仲間入りを果たし、3年ほど前から企業がマーケティングのツールとして着目。話題となった施策も増えている。
そこで今回は、スナップチャットを広告・PRに活用した海外企業8社の事例を紹介。
そもそもSnapchatとは……?
Snapchat 写真や動画をチャット感覚で共有できるアプリ。ほかのSNSとの決定的な違いは送ったメッセージが消えること。メッセージ・画像・動画の送信側が1〜10秒の間で閲覧時間を設定、閲覧終了後は端末から消えてしまい見られなくなってしまう(ちなみに、閲覧中にスクリーンショットを撮られた場合は、送信側に通知がいく)。ユーザーは「いいね!」や「シェア数」を気にする必要がないので気軽に投稿できると評判。位置情報を利用して自分がいる場所にちなんだスタンプやオーバーレイを加えることができるジオフィルター、顔認識をして特殊なアニメーション効果を与えるレンズなど、魅力的な機能が備わっている。
1. 16 Handles(@Love16Handles)
スナップチャットの仕組みを利用して成功を収めた最初の事例と呼べるのが、ニューヨークを拠点にチェーン展開するフローズンヨーグルト専門店「16 Handles」。フローズンヨーグルトを食べている写真を企業のアカウントに送ると、その見返りとして割引クーポンが手に入るキャンペーンをおこなった。クーポンの割引率は16%、50%、100%とあり、送られてくるまでわからない仕組み。さらに、クーポンの画像は数十秒で端末から消えてしまうので、確実に来店してレジ前にいなければならない。これがユーザーの興味をひき、大きな話題となった。
@jordanakozy @tastidlite no brainer pic.twitter.com/9RHhhbrxzO
— 16 Handles (@16Handles) 2016年7月15日
via:social fresh、DIGIDAY
2. McDonald’s(@mcdonalds)
スナップチャットとビジネスパートナー契約を結んだアメリカ国内初の企業が大手ハンバーガーチェーンのマクドナルド。同社のCMに出演しているNBA選手、レブロン・ジェームスの撮影時オフショットを投稿し、注目を集めた。
また、スナップチャットならではの機能「ジオフィルター」を活用。それぞれの場所で使えるマクドナルドのオリジナルフィルターを提供し、1万4000カ所で308万回以上も見られた。
Have you added us on @Snapchat yet? We have a surprise for you all soon. Username: mcdonalds pic.twitter.com/c4cgPfSv46
— McDonald’s (@McDonalds) 2014年2月24日
その画像をツイッターにのせるユーザーも多数。
did you know: i live so close to mcdonalds that i can make geofilter based jokes about it pic.twitter.com/cIHvBBeyHj
— marny (@marnyanne) 2015年10月6日
via:Marketing Land、Shorty Awards
3. Philadelphia Eagles(@Eagles)
Go behind the scenes of #BackInBlack pregame with +eagles @Snapchat! pic.twitter.com/BwFygHcsJe
— Philadelphia Eagles (@Eagles) 2015年12月20日
NFL(アメフト)チームのフィラデルフィア・イーグルスは、スナップチャットの公式アカウントをスタートさせると、最初の週で7000人のファンを獲得。ユニフォームなどのアパレルグッズ新作のプロモーションをはじめ、練習風景や試合、普段は見れない選手の舞台裏を載せて人気を博している。
4. adidas Originals(@adidas Originals)
ストリートカルチャーで絶大な人気を誇るアーティスト、ファレル・ウィリアムスをPR担当に起用し、今年5月13日に公式チャンネルをローンチしたアディダスオリジナルス。
コアなフリークが多数存在するスニーカーシーンでは、発売前のプロダクトが画質の悪いスマホ画像などで事前にリークされてしまうことも少なくない。そこで、あえて時間制限が設けられるスナップチャットで新作やコラボアイテムを先行的にお披露目。ファレルが未発売のスニーカーを投稿した際には4000回以上ものキャプチャがとられた。また、親交の深い大物アーティストのビッグ・ショーンやカメオも登場するなど、ファレル独自の視点も好評を得ている。
We’re with @Pharrell on Snapchat LIVE from the Pink Beach – follow us.
👻: adidasOriginals pic.twitter.com/R68kOHUMxX— adidas Originals (@adidasoriginals) 2016年5月14日
ファッションアイコンとしても注目を集めるファレル・ウィリアムス。
5. Taco Bell(@tacobell)
Hey @Snapchat and @tacobell can we bring back that taco filter that you had for Cinco De Mayo? I really miss it. pic.twitter.com/iHOIKnrZFR
— Meredith Tracy (@MeredithTracy) 2016年7月2日
メキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ(5月5日)」に際し、タコスチェーンのタコベルがセルフィーで自分の顔を大きなタコスに変換させるレンズ(Cinco de Mayo Snapchat Lens)のキャンペーンを実施。これが若者の間で大ヒットし、1日で2億2400万ビューを達成。スナップチャットを使った企業PRにおいて、これまでの記録を打ち破る結果となった(2016年5月時点)。
6. GUCCI(@gucci)
The bee tote from #GucciFW16, on the streets of Tokyo for the new campaign. https://t.co/bZ6bfn20qZ pic.twitter.com/xrCFc8Lu7D
— gucci (@gucci) 2016年7月19日
ハイブランドのグッチが2016-17年秋冬コレクションの広告ビジュアルを東京でゲリラ撮影。モデルのペトラ・コリンズやクリエイティブディレクターのアレッサンドロ・ミケーレが、渋谷のスクランブル交差点での撮影風景や桜が咲き乱れる様子の動画など、東京での生活をスナップチャットを通じてレポートした。
Announcing a Snapchat takeover by @petracollins, in #Tokyo to star in the #GucciFW16 campaign, now on Gucci Snapchat pic.twitter.com/pCLaUixcpM
— gucci (@gucci) 2016年4月1日
モデルのペトラ・コリンズ。スナップチャットで配信された動画には日本らしい桜や着物のスタンプが。
See the #GucciAce digital campaign, live now for 24 hours on Gucci Snapchat. #24HourAce pic.twitter.com/YGVK8PYDm2
— gucci (@gucci) 2016年7月27日
グッチはスナップチャットを使って様々なビジュアルを公開している。
via:Vogue
7. evian(@evianwater)
ナチュラルミネラルウォーターブランドのエビアン。イギリスで人気のエビアンCM「Baby and Me」と映画『Amazing Spiderman』がコラボしたCMの続編をスナップチャットのアカウントをフォローした人限定で配信。多くの人がCM見たさにアカウントをフォローした。
via:campaign
8. Alka(@Alka-forsikring)
デンマークの保険会社Alka。まだそこまで保険を意識していない若者はリーチしにくい層と言えるが、スナップチャットを活用することで若者の興味をひき、コンバージョン率を高めた好例。オレンジのアイテム(Alkaのイメージカラー)を写したスナップに、名前と電話番号を加えて企業アカウントに送ってきたフォロワーには景品が当たる、というキャンペーンで774件の応募から見込み客を獲得。フェイスブックのようにユーザーのデータがとれないスナップチャットはナーチャリング(見込み客の育成)が課題とも言われていたが、そこから一人一人にコンタクトをとることで契約に結びつけた。
via:CANADIAN INSURANCE TOP BROKER、DIGIDAY
まとめ
海外企業の事例を見てみると、ツイッターやインスタグラムで前フリをしておき、スナップチャットで限定感のあるキャンペーンをおこなうパターンが目立っている。
後回しにはできない(いま見ないといけない)という制約があるからこそ、いっきに注目を集めることができるツールだ。
今のところ日本企業で大きな話題となった広告・PRの事例はないが、きたるべきときに備えてぜひ参考にしてみてはいかがだろう。