中国が周辺国と領有権を争う南中国海(南シナ海)と東中国海(東シナ海)に武装警備船を派遣したり、戦闘機の演習を行ったりするなど紛争海域で同時に武力配備をアピールしている。8日付サウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。中国が両海域で武力を誇示するのは異例だ。
中国人民解放軍は6日、「轟6K」戦略爆撃機とスホイ30戦闘機などで構成される編隊を南中国海に送り、スプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)とスカボロー島(中国名・黄岩島、スカボロー礁)付近の上空を巡航させている。米戦略国際問題研究所(戦略国際問題研究所(CSIS))は同日、中国が南沙諸島で軍用機の格納庫補強作業を行っていると推定される衛星写真も公開した。中国は先月南中国海での仲裁で敗れて以降、同海域に対する支配を強化することを狙っているとみられる。
中国は日本と領有権を争う東中国海の釣魚島(日本名・尖閣諸島)にも武装警備船を派遣した。共同通信などによると、6-8日には警備船14隻と漁船230隻が出没し、一部な日本の領海内に進入した。共同通信は「中国の警備船には機関砲とみられる兵器が搭載されている」と報じた。中国人民大国際関係学部の金燦栄教授は「日本が最近右翼傾向が強い稲田朋美氏を防衛相に任命したことに対する不満表明だ」と分析した。
一方、米イージス艦「ベンフォールド」が8日、中国の北海艦隊司令部がある山東省の青島港に寄港した。先月南中国海をめぐる仲裁結果が出て以降、米軍の軍艦が中国の軍港に入港したのは初めてだ。同紙は「南中国海をめぐり、米中両国の対立が深まっているが、対話窓口は開いておく意向とみられる」と報じた。