【コラム】THAAD韓国配備、意図的に反対世論を形成する世論調査

 政界関係者やメディアの一部はTHAADの配備決定に至るまでの過程について「その必要性と安全性について政府による国民への説明が不十分」と主張しており、それを理由に「国民の意見が十分に反映されていない」などと批判するかもしれない。またTHAAD配備をめぐっては東北アジアの強大国の利害が複雑に絡んでいることから「米国の意向に逆らえなかった」とする批判が今後出てくることも当然考えられる。しかしそれらの批判的な意見を数値化し、それを国民の意見として提示するに当たっては、世論調査の質問に何らかの意図を反映させてはならない。もしそうなればその結果が「歪曲(わいきょく)」あるいは「捏造(ねつぞう)」などと批判される恐れが出てくるだろう。世論調査は国民の意向を把握する際の参考に使うもので、自らの主張を強要し何らかの世論を新たに形成する道具ではない。

 世論調査は韓国では大統領や国会議員の候補者選びはもちろん、例えば不正請託や公職者の金品授受を禁止した、いわゆる「金英蘭(キム・ヨンラン)法」を合憲と判断した憲法裁判所の決定を左右するほど非常に大きな影響力がある。ところがその影響力が強くなるほど、ある勢力にとっては世論を思い通りにしたいという誘惑も当然高まる。世論調査は国民の意向を映し出す鏡ともいわれるが、これが世論形成の道具に転落してしまうと、時に新たな対立や葛藤を招く凶器に変貌してしまうのだ。

世論調査チーム=洪永林(ホン・ヨンリム)記者
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