米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に強く反対してきた野党・国民の党の朴智元(パク・チウォン)院内代表は先日、党内での会合で「世論調査でもTHAAD配備の再検討を求める声が53%に達している」とした上で「THAAD反対運動を今後も積極的に続けていきたい」などと発言した。ところが韓国政府がTHAAD配備を正式に発表した後に行われた世論調査を見ると、韓国ギャラップの調査では配備賛成が50%で反対の32%を上回り、リアルメーターの調査でも賛成(44%)が反対(39%)よりも多かった。ところがメディアオヌルがSTIという調査会社に依頼して行った調査だけは、再検討を求める声が過半数を占めていた。朴智元氏はこの調査結果を会議で持ち出したわけだが、ちなみにメディアオヌルの大株主には全国民主労働組合総連盟(民主労総)に所属する全国言論労組が名を連ねている。
このようにTHAADと関連する世論調査の結果に波がある理由は、調査会社によって質問の仕方が異なるからだ。例えばメディアオヌルの調査では「政府はTHAAD配備を計画通り進めるべきか、あるいは国民の世論を把握した上で再検討すべきか」と尋ねている。これでは「国民の世論を把握」という言葉がある方の選択肢が選ばれるのは当然のことだ。これに対してギャラップの調査では「THAADの韓半島(朝鮮半島)配備に賛成か、反対か」としか尋ねていない。ある方向に回答を誘導する質問か、あるいは価値判断を排除した中立的な質問かによって、結果がこれほどまでに変わってくるのだ。
またメディアオヌルの調査はTHAAD配備を再検討すべきかを尋ねる質問が来る前に「韓民求(ハン・ミング)国防長官は7月5日の国会での質疑で『THAAD配備については何も決まっていない』と答弁したが、政府はその3日後に配備決定を発表した。政府がこのように突然配備を発表した理由は、米国の圧力に屈したためという見方があるが、この見方に共感するか」という長い質問があり、回答者の60%が「米国の圧力に屈した」と答えた。つまりメディアオヌルの調査はTHAAD反対論者の主張ばかりを一方的に詳しく提示し、THAADに対する否定的な考え方を回答者に植え付ける質問をした上で、THAAD配備について賛成か反対かを尋ねていたわけだ。