プロフェッショナル・ワークの現場から プロジェクト編

国際協力銀行

資源・環境ファイナンス部門
鉱物資源部
第2ユニット

三澤瑛甫さん(28歳)

親の仕事の関係上、小学生のころにヨーロッパへ。その後ニューヨークに渡る。現地のニューヨーク市立大学を卒業後、帰国して東京大学大学院へ進学。海外での生活の経験から国際的な仕事に興味を持つようになる。日本と世界のために貢献する国際協力銀行のミッションに引かれて入行を決意する

モザンビークでの木材チップ製造工場の
建設融資プロジェクト

融資を通じて製紙原料獲得を支援
日本の豊かさを支える醍醐味

日本が世界有数の紙の消費国であることをご存知だろうか?注意深く周囲を見渡してみると外国に比べ、出版物だけでなく生活用品にも多く使用されていることがわかる。日本人にとって、紙は生活に欠かせない大切な資源なのである。

アフリカ大陸の南東部に位置するモザンビーク共和国。現在、この国では日本向けに製紙原料である木材チップの製造工場の建設が進められている。この一大プロジェクトの当事者は大手総合商社だが、それを資金面で支えているのは政策金融機関である国際協力銀行だ。近年、中国などの新興国の経済成長から製紙原料の需要がグローバル規模で急増。これに対応するために、大手総合商社と国際協力銀行がタッグを組んでプロジェクトを実現させたのだ。

このプロジェクトを担当したのは三澤瑛甫さん。入行後、初めて携わったプロジェクトであったため、思い出深いという。

「当行が融資する資金は規模が巨額で融資期間も長いことが多いため、融資の判断には膨大な情報による厳格な審査が必要不可欠です。商社から提出される情報を精査し、融資の可否や融資条件を判断すること、そして、商社と協力して期限内にプロジェクト遂行に必要な資金を融資することがわたしのミッションでした」

融資を実現するために顧客視点に立つ

中長期的に逼迫する木材チップ。その安定確保には日本の国益が懸かっている。成功への道のりは決して平たんではない。

「融資条件をクリアにするために融資先である商社から情報を収集することからプロジェクトはスタートします。日本にとっての意義など、プロジェクトの基本的な内容の確認から、現地政府や関連当局の許認可の確認。さらには事業計画の採算性などをヒアリングし、ポリティカルリスクと呼ばれる政治的なリスクなども考慮するのです」

融資先の商社にとってモザンビークでの事業は初めてのことで、現地の習慣に不慣れであり、現地政府機関との交渉が困難だった。三澤さんは出来る限りのサポートを行った。

「事業実施に必要な関連当局の許認可の取得が今回のプロジェクトの最大の山場だったと言えます。当行としてもプロジェクトが進まなければ融資ができない。融資が破談にならないように、顧客の事情を考慮しながら国の政策機関としての立場・視点から可能な限りのアドバイスを行いました」

予定通りには進まないこともあったものの、三澤さんの努力は最終的に実を結ぶ。無事に関連当局の許認可を取得でき、プロジェクトは動き始めた。

「当行の業務は法律で『できること』が明確に定められています。無理なことは無理だと伝え、何が可能か知恵を絞ってアドバイスを行う。そして行内の関係部署とも協議を重ね、顧客の意向を考慮しつつ、具体的な融資条件を固めていくのです。交渉は長期にわたることも少なくありませんが、顧客の立場に立って行動することで、信頼関係を醸成できることは大きな喜びですね」

2012年9月現在、モザンビークの木材チップ製造工場の建設は佳境を迎えており、年度内には日本に向けて供給開始の予定だ。定期的にプロジェクトの進ちょく状況を耳にする三澤さん。報告を聞くたびにプロジェクト当事者と同じような達成感を味わっているのだ。


入行直後にプロジェクトを担当

初めてのプロジェクトであり、入行してすぐに携わりました。新人研修を受けながら、並行して実務を担当していたので正直大変でした。しかし早くにプロジェクトを担当したからこそ、成長を早められたと思いますね。現場こそ成長の最大の糧だと思います。


プロジェクトの進ちょくを聞く楽しみ

商社の担当の方からはプロジェクトの進ちょく状況を定期的に報告していただいています。現地の状況を写真なども見せていただきながら、事細かく報告してくださるので実感が湧き、毎回楽しみです。先方も楽しそうで、双方ともに笑顔が多いですね。


信頼していただき多くを任せてもらえた

新人であるわたしにさまざまなことを任せてもらったと思います。信頼されていると感じましたね。もちろんアドバイスを求めれば、助言をしてくれる先輩がいます。融資が無事に決まった後、打ち上げとして上司や同僚に祝っていただいたことは良い思い出です。

※本記事の内容は2012年11月掲載時のものであり、現状とは異なる場合がございます。

記事一覧に戻る

ピックアップ企業

・このページをシェアする

LINEで送る
googleplus
PAGE TOP