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個人情報と社会 過剰反応が起きぬよう

 来年、全面施行される改正個人情報保護法の政令や規則など関係法令案が公表された。個人情報保護委員会が今月末まで意見公募を実施し、10月にも閣議決定される。

     現行法が2005年に全面施行されて以後、社会のさまざまな分野で、個人情報の保護を理由とした匿名化が進んだ。その中には、いわゆる過剰反応といわれるものもある。

     今回の改正法では、「要配慮個人情報」を新たに定義づけた。本人の同意なく集めたり、使ったりすることを禁じる情報である。公表された政令案では広く解釈できる余地があるため、さらなる過剰反応を招く恐れがあると指摘する専門家がいる。

     個人情報の保護を図りつつ、民主主義を支えるための自由な情報の流れをどう守るのか、議論を深めていきたい。

     不当な差別や偏見を防ぐために配慮が必要な「要配慮個人情報」は、具体的には、人種▽信条▽社会的身分▽犯罪被害歴▽病歴▽犯罪の前科・前歴などが当たるという。

     政令案は、この中に、心身の障害、健康診断結果、医師の診療や投薬情報、逮捕や捜索などの刑事手続きが含まれるとした。

     近年、警察の判断で犯罪被害者の氏名などの公表を控える傾向が強まっている。だが、事件の再発防止や真実の解明などのため、社会にとって必要な情報はある。

     たとえば犯罪被害歴全般を、他の項目と同列に位置づける必要があるのか。さらに精査すべきだろう。

     そもそも報道機関が報道目的で情報を取得する限り、法の適用が除外される。「要配慮個人情報」であっても同様だ。根底にあるのは、情報は社会の公共財という考え方だ。

     だがこの10年、そうした理解が社会に広まってこなかった。

     政治家などの公人や、企業の不祥事の際などに情報隠しの口実に使われたり、災害時に、必要な安否情報が社会に届かなかったりということが度々起きてきた。

     東日本大震災で、個人情報保護法がネックになって要援護者の情報が迅速に公表されず、救助に支障が出たことが教訓として強調された。だが、昨年9月、茨城県常総市であった水害で、行政は連絡の取れない住民15人の氏名を公表しなかった。結果的に市や県など関係機関での情報共有が遅れ、無事が確認された後も捜索が続く事態を招いた。

     配慮ばかりが強調されては、こうした情報の出し渋りはなくならないだろう。もともとこの法律は、個人情報の保護と活用のバランスを図ることを目的として掲げている。改正法施行を前に、その原点を改めて確認したい。

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