参院選に導入された合区を解消してほしい――。全国知事会は7月末、こんな決議を採択した。

 一票の格差を縮めるために設けられた「鳥取・島根」「徳島・高知」の4県2合区を3年後の参院選ではなくすよう、国会に求めたものだ。

 まず経緯をたどっておこう。

 一票の格差は、94年以降、国会が数次にわたって都市部と地方の定数を増減させる是正策で対応してきた。

 だが、最高裁が10年と13年の参院選を「違憲状態」とする判決を相次いで下し、都道府県単位の選挙区制度の見直しにも言及。従来の定数増減での対処が難しくなった。

 そこで国会が踏み切ったのが県境をまたぐ合区だった。

 一票の格差をめぐっては、長年、衆院と参院の役割分担を踏まえた抜本改革が求められてきた。だが国会は小手先の対応に終始した果てに、合区にたどりついたというのが実情だ。

 合区導入の際にも各党の議論は多岐にわたった。「全国11ブロックの大選挙区にして比例区を廃止」といった大胆な格差解消案もあった。

 だが、現職議員に最も影響が少ない2合区案を、自民党などの賛成多数で決めてしまった。

 知事会は、戦後一貫して都道府県単位で代表を選んできた参院には「地方の声を国政に届ける役割」があると主張する。

 人口が減っていく時代である。今後さらに合区が増え、地方はますます置き去りにされかねない。そんな危機感を多くの知事が共有している。

 しかし、憲法の条文に、国民は「法の下に平等」(14条)であり、国会議員は「全国民を代表する」(43条)と書いてある以上、地方の定数を手厚くする選挙制度は理屈がたたない。

 だから知事会は決議で、憲法改正についても議論すべきだと指摘した。だが、抜本改革を怠ってきた国会の対応を棚に上げて、この問題を憲法改正のとば口にするような論法は筋が違う。次の参院選に間に合う憲法改正は時間的にも難しい。

 この現実を踏まえて、「各県1議員」を復活するなら、議員歳費を削って総定数を増やすか、選挙区の定数を増やして、比例区を減らすといった策が考えられるのではないか。

 国会は速やかに合区について議論すべきだ。

 昨年成立した改正公職選挙法の付則に、19年の参院選に向けて、選挙制度の抜本的な見直しを検討し、「必ず結論を得る」と書いた責任がある。