バリバラ 緊急企画「障害者殺傷事件を考える」 2016.08.12


バリアフリーバラエティー「バリバラ」!7月26日未明神奈川県にある障害者福祉施設が襲われ知的障害のある入所者19人が死亡26人が重軽傷を負う事件が起きました。
警察に出頭したのは26歳の青年。
かつてこの施設で働いていた元職員でした。
今日はこの事件をどう受け止め悲劇を繰り返さないために何が必要か考えます。
みんなのためのバリアフリーバラエティー「バリバラ」。
今日は緊急企画です。
先月26日に福祉施設で障害者が元職員に襲われ多くの人が亡くなる事件が起きました。
お亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げるとともにけがをされた方々にお見舞い申し上げます。
さてニュースを見て憤ったり悲しんだり不安になったりしたり多くの人がそういう気持ちを揺さぶられたと思います。
事件をどう捉えて何を僕たちは今考えなくてはいけないのか。
「バリバラ」は早速緊急討論会を行いたいと思います。
玉木さんはこの事件どのように受け止めましたか?何となく普通はねどんどん理解が進むはずだろうと。
さあ今日はスタジオに知的障害者の当事者の方にも来て頂きました。
今回の事件土本さんはどう見られてましたか?まずカードでレッドカード。
カード今日お持ち頂いております。
レッドカードその意味は?自分たちの仲間が大勢殺された。
無抵抗で殺された。
言いたいことがいっぱいあったのに殺されてしまった。
ショック一つでは片づけられない問題だということです。
そうですよね。
どうでしょう?宮さん。
施設の皆さんはどういうご意見だったんですか?私たちのグループホームの支援をしている生活支援の中でね入居されている方に話聞きました。
リアルに出てくるのは職員がそういうことをしたっていうことに対してすごく怒っていました。
「何でや?」って聞いたんですよ。
「僕ら信頼したのに」っていう言葉が出たんですね。
確かに職員はねうちの職員でもころころ辞めたりしますよ。
でも彼らはずっと信頼してきよったのに何でこんなことされなあかのや?と同時にぼろぼろぼろぼろ言葉出てきたんですよ。
その言葉は「みんな一緒やのに」「僕らも目標あんのに」とか「やりたいことあんのに」とかっていう言葉出ましたね。
事件を受けていろんな意見が実はこの「バリバラ」にどさっと寄せられました。
その一部紹介させて頂きます。
多数の障害者が殺傷された今回の事件。
その背景に何があったのか?容疑者の足跡や言動からいくつかの指摘がなされています。
これは今年2月容疑者の男が衆議院議長宛てに出した手紙です。
犯行を予告する内容とともに障害者の命を奪うことを正当化する考え方が記されています。
個人的な恨みではなく社会のために障害者を消し去るのだとした主張は大きな衝撃を与えています。
この手紙を出した直後容疑者は病院の精神科に入院させられています。
自分や他人を傷つけるおそれがある時に限って行政の責任で強制的に入院させることが認められた措置入院でした。
しかし犯罪を犯していない者を本人の意思と無関係に拘禁することは人権侵害につながるとの指摘もあります。
容疑者は12日後に退院。
事件後措置入院の在り方を巡って議論が起きています。
4年前から津久井やまゆり園で職員として働いていた容疑者。
働いている頃から障害者への差別的な言動があったといいます。
…というような発言をしはじめておりました。
会見で施設の園長は「私たちがきちんと育ててあげられなかった」と発言しています。
容疑者は今年2月に施設を退職。
その5か月後事件は起こりました。
玉木さん今回精神疾患があったっていう報道がありますけどもこの辺はどうなんですかね?危ない?危ないと思うんですね。
例えば…低いんですよね。
この辺は立岩さん一番説明してほしいし訴えてほしいことだとは思うんですけど何かどうお感じになられてますか?措置入院うんぬんの話ですけどね入院して医療を受けるというのは基本的に何か苦しいことがあったり死にかけたりしてねそのために治してほしくて行く訳でしょ?それが医療っていうもんですよ。
これからやるかもしれへんからもっと長いこと病院にとどめときましょうってそういう話でしょ。
これは基本おかしい。
その基本おかしいところが全部終わっちゃってそれが前提になって次の話してる訳ですよ。
これはムチャクチャな話なんで無理やりでも話を巻き戻してそこからスタートしないとこれはダメだと思います。
また加害者は事件の起きた施設の元職員ということで別の福祉施設の職員さんからもたくさんメールが寄せられましてねご紹介しましょう。
さあ宮さんはこれ同じ障害者施設の職員の立場から元職員が事件を起こしてしまったことこれについてどう思われますか?動機なんかはね手紙ぐらいから少し知ることになった時にあの文言なんかを見ると我々勉強会とか意見交換会もすぐやったんですね。
すぐやった時に出てきた言葉あの文言を見る家族の大変さ支援者の疲弊感っていうあの言葉が出た時にあれこれって我々も感じることってあるよねっていうようにそういう意味では確かに猟奇的な部分はありますけどもその前の動機の部分で言うとたにん事ではないというようなね。
そこはすごくやっぱりドキッとしますし更に考えていかなきゃならないっていうふうに動きにもなりましたね。
なるほど。
そういった意味ではグレースは以前施設を利用する側でもあった訳ですよね。
そうですね。
だからそういう立場から今回の事件どう思いましたか?入ってたのは重度心身障害者施設という所に入っていて正直びっくりしたっていうのが職員さんが利用者に対して使う言葉とかが「分からへんからええよええよ」とか「私はああはなりたくない」って言ってた最初に入ってきた新人さんがちょっと上の先輩とかに「そのやり方だったらこの施設では無理だから」って言われてどんどん変わっていく姿を目の当たりで1年間見てきた時に人って環境で変わってしまうこともあるんだなって。
なぜそんなんが生まれるんだろうかっていう話になった時に閉塞感というかやるせなさというかこの障害の重度…重複障害って出てましたね。
…の支援をしてる中でこの先どうなんだろうかっていうふうに夢が持てないないしは次が見いだせないっていうような状態にみんなおったんちゃうかな。
どうですかね?重利さん。
だから虐待を起こす職員そういう人がまた社会に出て違う施設で働くというようなことを想像したら簡単に解雇とか退職を認めるいうことは僕はできませんね。
なぜ虐待を起こしたのかという解明すらできずにトカゲの尻尾切りに見えますわよね。
育てられないかもしれない確かに。
そんな次元じゃない人もひょっとしたらおるかもしれない。
でも施設の責任としてそういう人がこれからどういった人生を歩むのか。
また虐待を起こしてまさにこういうことをしてしまった責任を施設は負わなければならないんじゃないかなというのはちょっと思いますね。
意見を聞いてどう思われますか?支援者はやめられるんです嫌になったら。
だけど障害といわれた人は嫌だと言ってもやめられない。
自分たちはやめられない。
重い言葉ですね。
障害の方はもう障害やめられへんのやでと。
一生。
容疑者が語ったというこの言葉に対し番組には数多くのメッセージが寄せられました。
ここからはですね加害者が語っていたいわゆる「障害者は生きていてもしかたない」という言葉についてグレースこの言葉どう思われましたか?まず最初に思ったのはこれを言葉に出してるか出してないかできっと地域で生きてる人の中にもそう思ってる人はいるんだろうな事実なのかなっていうふうに思っていて。
それは相手が自分のことをよく分からないで見た目でやっぱ重度の障害者って見てかわいそうって見て生きてるのしんどそうやなとかそういうのだけで決められてる気は何となくするけれども。
そういうふうに思ってる人いるんやろうなって思うような経験をしたの?やっぱり言葉の端々ですよね。
「おねえちゃん大変やな。
そんなん生きててしんどないの?」。
おお…そんなん言うてくる人おるの?…いう人とかやっぱり地域で生きててやっぱヘルパーを利用してるっていうところで「税金使ってそれでも地域で生きたいの?」ってはっきり言われることもありますから。
マジで?やっぱでも障害があって地域で生きてて私幸せで。
そんなに歩けることがそんなに大事かとかそういう話になってくるのかなって思って。
うちの番組でもいつも「彼氏彼氏」彼氏の話多いしな。
一番何かワクワクしてそうやし。
ヘヘッそうです。
そうですとか言わないですけど。
何か障害者だから生きててもしょうがないっていうのはやっぱり地域で生きて社会の一員として誇りを持って生きている一人としてはすごく悔しい。
本当にただそのひと言がっていうところですね。
いや〜そうですか。
土本さんはそういうのを感じたことありますか?いっぱいありますよ。
いっぱいある?だけど…だって私たちここで生きてる。
空気を吸って生きてる。
おんなじ人間なんです。
一人一人がどうやってしっかり輝くか。
どんどんいっぱい言う人もいるだろうけどやっぱりここで生まれて育ってここにいる。
いることだけでも一人の人間の価値もあるし光り輝いているんだと。
真希ちゃんはどうですか?その人はそういう価値観だったかもしれないけど生きてていいかどうかっていうのは自分が決める。
そうね。
障害があるからイコール幸せじゃないとか不幸だとかっていうのは全然他人が判断することじゃなくて。
私もすごい生まれてできないことはもちろんあるけれどもでもその中で本当に幸せだなとか生まれてよかったなと思うことはたくさんあるんでそういう勝手に人の人生を決めないでほしいなってすごく思いましたね。
そうですよね。
本当それは思いますよね。
宮さん。
僕たち職員仕事の立場としては彼らが社会で活躍できる人なんだっていうことを立証する役割を持ってると思ってます。
そのためには自分での表現が苦手な方であったとしても価値があるかないかとか幸せかどうかっていうのは周りが決めるんではなくて彼らがどう思うかというのをどう聞くか。
僕たちは考えていかなければならないし逆にこの事件があった時に一つ思ったことは社会はそういうふうに思ってるんだと。
我々も本当に社会を変えられてなかったっていうところをすごく反省しましたしまだまだ彼らと一緒にもっともっと社会を変えていくっていうことをできてなかった自分を少し反省した。
立岩さんいかがですか?僕はねあらゆる人間が実は役に立つっていう話はちょっと無理があるなと思ってて。
別に言わんたっていいと思うんです。
でもね役に立たんっていうこととその人が生きとったらあかんっていうこと全然別のことですよ。
役に立たんかってその人は生きてたらあかんのかってそれは違うって確実に言える訳ですよ。
そういうことをやっぱちゃんと一つ一つ潰していってそれに対して反論してでも理屈だけ言ってもしょうがないんでそういう…まあ言ったら役に立ってない人間であってもちゃんと生きてけるように世の中組み立ててく。
それ以外にああいう話あるいはそういうものを肯定してしまう現実に対抗する手だてはないんだと思いますね。
僕もね今日皆さんがしゃべってたように…怖い?何が?番組には東京大学教授の福島智さんからもメッセージが届いています。
福島さんは全く目が見えず耳も聞こえない重複障害があります。
(踏切の警報音)人間を生きるに値するものとそうでないものに分ける考えは優生思想といわれています。
それはナチスドイツがユダヤ人や障害者の大量虐殺を正当化するために用いた思想です。
しかしこの思想はドイツだけでなく20世紀広く世界を覆ってもいました。
日本も例外ではありません。
僅か20年前まで存在した優生保護法。
その目的には不良な子孫の出生を防止することと記されていました。
この法律の下不幸な子どもの生まれない対策室が作られた県もあります。
生きているものの幸福をつかむために胎児の生命というものをささげることも許されていいんじゃないかというふうなことも思ってる訳です。
私たちにとって障害者を劣った存在と見なしその命の価値さえも低く見る考え方は決して縁遠いものではないのです。
神奈川県相模原市で起きた障害者施設への襲撃事件では動機などに不明な点も多く今も調べが続けられています。
一方国は事件を受けて福祉施設における防犯対策の強化や措置入院の在り方を検討するとしています。
各地で既にセキュリティー強化への動きも始まっています。
事件は福祉施設の在り方に大きな波紋を投げかけています。
さあここからは悲劇を繰り返さないために何が大切なのか話し合いたいと思います。
虐待が生じる土壌みたいなのこれは確実に施設にあると思うんですよ。
おんなじような人たちがずらっと並んでるっていう姿っていうのがねある種の「これでやってけるんかい?この社会は」みたいな。
そういう意味でも何かいろんな所に違う人たちがバラバラにいて一人一人の顔が見えて暮らせるっていうそっちの方がまともな考え方ができるようになるやろうと…。
恐ろしいですねガチャガチャガチャガチャって「管理管理」って。
「人権は?」って話ですもんね。
障害のある方がやはり街へ出ると本当に変わっていきますね街が。
今入所施設も変わってきてます。
入所を出てグループホームへ行くということもそうなんですけどいろんな企画をしていますよね。
外へ出る閉鎖的になるまいとするような企画で…。
入所施設でできることはいっぱい出ていってもらって地域で生活していくための仲間をいっぱい出ていくことでつかまえてもらう。
そこの商店街のおじさんであったりとか学生さんであったりとか出ていって味方をたくさんつくってもらえれば本当に安心して出ていきます。
そういうことの後押しをこれからやっていくのが我々の仕事だと思っていますね。
さあ土本さんもう最後になりますけれども。
この事件で埋もれていく障害者がいる事件もある。
今大きい事件として取り上げられるけどもその中でも埋もれている障害者がいる。
生きているんだ。
地域で生きているんだ。
障害者である前に一人の人間として地域で扱えと言っていきたいなと思ってます。
この事件をそれこそ悲しみの中だけで終わらせずに次に進めるためにねみんなでどんどんこれからも話をしていきたいし皆さんからもメッセージ頂きたいと思います。
たくさんのメッセージありがとうございました。
そして皆さんありがとうございました。

(テーマ音楽)2016/08/12(金) 00:00〜00:30
NHKEテレ1大阪
バリバラ 緊急企画「障害者殺傷事件を考える」[解][字][再]

7月26日に起きた障害者施設での殺傷事件。容疑者は元職員で「障害者がいなくなればいい」という趣旨の供述をしている。この衝撃的な事件の背景に何があるのか、考える。

詳細情報
番組内容
7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者施設で入所者が次々に刺され、19人が死亡、26人が重軽傷を負う事件が起きた。容疑者は施設の元職員で、「障害者がいなくなればいい」といった趣旨の供述をしているという。バリバラでは緊急座談会を開催。事件の背景に何があるのか。再発を防ぐために何が必要か。視聴者のみなさんから寄せられたメールも紹介しながら、障害のある当事者、支援者とともに考える。
出演者
【司会】山本シュウ,【コメンテーター】玉木幸則,【出演】大橋グレース愛喜恵,岡本真希

ジャンル :
福祉 – 障害者
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – トークバラエティ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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