今日はナカナカ当たりの女を引いた。
26歳で医療事務をしているという。
医者といっても、できる医者じゃない。終わってる医者。いわゆるオワレジ(終わってるレジデント)だ。
上級医からは毎回怒鳴られ、ナースからは嫌われ、飲み会ではいじられる。そういう人生の苦渋ばかりなめている。
そんなやつが同じ業種、もしかしたら同じ職場にいるかもしれなかった風俗嬢を引いてしまった。
「本番無しですので、よろしく。アラームなったら終わりですからね」
慣れている口調だ。僕はうなづく。
俺は寝かされた。内心、「ハハッ、普段患者さんに寝てくださいって言う立場なんだよなぁ」と自嘲した。
そうだね、そう。孤独のグルメじゃないけどさ。まあ安心感あるね。この定番コース。
嬢もこうやって準備運動から始めるのかな。そりゃそうか。キモイおっさん相手でも、流れを作れば流れで作業できるものね。医者のルーチンの問診と身体所見取と同じですな。
俺は、べらべらとおしゃべりしている。
「君名前なんていうの?ふわー同業種の娘がこんなことやってるなんてなあ。くっそかわいいね~」
空虚だと思ったが。普段まったく人間らしい会話してないから、ノーリスクで絡める女を買ったことで全力で絡む。
興奮してしまった。
普段なら触るなんてしたらセクハラ、ましてやおっぱいを吸うなんて。
いわゆる授乳手コキをしてもらった。
膝枕をしてもらいながら、おっぱいを吸う。そして、手コキしてもらう。
彼女のほうが年下なのに、頭の中は「ママ、、、ママ、、、」と最近はやりの「バブみを感じてオギャる」ってやつだ。
知っているかい?赤ちゃんはおっぱい吸うときは口蓋と舌ではさむんだぜ?
決して歯を立てずにアムアムと赤ちゃんチューチュー。
クンニをお願いすることにした。
クンニ。してみたら、しょっぱい。ちゃんとおしっこふいてるのか。
尿道カテーテルのごとき舌を突っ込むと、「クリトリスのほうがいいです」
あ、はいはい。膣入れられるのが嫌なんだね。だからソープじゃなくてヘルスなのかね。
アンアンと芝居がかった声が聞こえる。アンパンマンのチーズという犬みたいだ。
そして、69をお願いする。
正直、フェラはそこまでうまくはない。
だが、「屑がかわいい娘に受け入れられてる。職場じゃ絶対関わらないような女の子とこんなことできている。妊娠してほしい」そういうことを考えると興奮してしまう。
「あt、、、でそうです、、、」
ビュービューと驚くような量が出る。
1回、2回じゃない。10回以上、ドキュドキュと勢いよく、なんだ。あれだ。公園の水飲み場。あれみたいに。
嬢はそれでも手を止めない。
「あっつ、、、ちょ、、、もうだめ、だめだって、手コキ無理、、、、気持ちよすぎておかしくなる、おかしくなる」
俺のほうがAV女優みたいじゃねーかっていう喘ぎ声がでる。
嬢はSだったみたいで、手を止めない。
「まっじ無理無理無理、ちょっとほんとに!まずいですよ!」
嬢が手を止めて「え~?このままやれば潮吹けるんだよー」
知らないよ。やるならやる前に言ってよ。危ない奴だな。
「服とか何系なの?ローリーズとか、ミッシュマッシュじゃないよね君の」
「う~ん、昔は原宿系だったんだけどねえ」
「え?リズリサとか?」
「アースとかかなあ」
「あ~、ミュージックアンドエコロジーね~バンギャとかそういうの好きだよねえ」
「う~ん。そうだねえ。20歳からこの仕事やってるから、結構お金あるしねえ」
「そういうのいいなーキラキラ女子がキラキラするために闇持ってるみたいなの。闇のゲームを始めようじゃないか!って感じで!」
「なにそれw」
みたいな。
くっそ空虚だが。カウンセリング受けてる気分。金で買った相手にしか心を開けない系なんだな。
ノーリスクじゃないと話できない。職場の友達とか毛ほども信用してない。
「研究者とかなりたかったんだけどねえ。ちょっと遠のいてしまったんだよねえ」
「私の病院でも、しばらく臨床して研究行った人たくさんいるよ」
「う~ん。大学入るくらいまでは純粋にそう思ってたんだけど、いろいろ世の中つらいからねえ。チビデブハゲだし、リアル生活はやる気もないんだけどねえ。」
「え~そう?でも、私の知り合いの超かわいい看護師さん、言っちゃ悪いけどめちゃくちゃ不細工な医者と結婚したよ」
「その人、中身は?」
「中身は普通かなあ」
「それは凄いよ。これだけ過重労働こなしてて、人格ゆがまないのはすごいわ。俺は中身もクソだから」
「そうは見えないけど」
なんだか、回転ずしみたいな話をしてしまった。しなびたネタの寿司を眺めるような。
あ~俺の人生はとっくの昔に終わってるんだなあと再認した。
「俺くらいになるとさ、看護師さんの白衣姿じゃなくて、看護師さんの私服を見たくなるわけよ」
「あ~わかるかも」
「普段気の強い看護師さんが、意外とフリフリ系来てるんだよねえ。ああいうの激萌え!」
タイマーがなる。
ああ。かわいい。
眼鏡がにあっている。
白くスカートが短い服はやはり風俗嬢じみているけど、似合っている。
宝石なんかが好きなのかな?と聞くと。白と黒の統一感のあるファッションなんだとややずれた答えが返ってくる。
ホテルを出るまでの間に、「かわいいね」っていうと、「かわいくないです、下の下です」と。
は~。下の下ですか。
あれですね。
いけてる男と女は俺みたいなのと所属してるコミュニティが違って。
そういういけてる男女のコミュニティの中では、彼女はイケテないってことですかねっと脳内で納得した。
つまり、彼女は、世の中の「上の上~上の下」くらいの恋愛コミュニティの中では「下の下」ってことかなと。
知らないけどね、そういうコミュニティを見たことすらないから。
俺とかだと、もう下の下ですらないんだろうなと思った。
いわゆる3B(バンドマン、美容師、バーテンダー)と付き合うのには力不足なんでしょうな彼女くらいのかわいさでも。
チーン
エレベーターが一階へ。
「あんなかわいい女でも、風俗とかやってるんだね!」俺はやや大きな声で言う
「そんな声だしたら聞こえるからやめてよ!」
「ああ、俺こういうところが人間性クソだから、無理なんだよねえ」
そういって、手をふって。さよなら。