ロシア ウクライナが「クリミアに侵入」と非難
- 2016年08月11日
ロシア連邦保安局(FSB)は10日、ウクライナの特殊部隊がクリミア半島に侵入したと非難した。ロシアは2014年に、独自に実施された住民投票に基づき、クリミア半島をウクライナから併合している。
FSBは、先週末に起きた2回の侵入でロシア軍兵士とFSB職員の2人が死亡したと発表した。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナが「愚かで犯罪的な」行為に及んだとし、治安強化を約束した。
一方、ウクライナのポロシェンコ大統領は、「(反政府勢力が支配するウクライナ東部の)ドンバス地方にロシア軍はいないとする、ロシア指導部の発言と同じくらい、ウクライナが占領下にあるクリミアでテロ行為をした、というロシアの非難は荒唐無稽で皮肉だ」とし、「ウクライナへのさらなる軍事的脅迫の口実に過ぎない」と反論した。
ウクライナでは、今月24日に旧ソ連崩壊後の独立から25周年を祝う式典を行う予定で、政府関係者は、ロシアが式典を妨害しようとしている可能性があると指摘した。
一方、ロシアでは来月18日に議会選挙を控えている。
FSBは、ウクライナの特殊部隊がクリミアで主要なインフラの破壊を目指していたと説明した。「今回の破壊工作、テロ行為の目的は、選挙の準備が進むこの地方で、政治社会的な状況を不安定にすることだった」。
FSBは、侵入の際のウクライナ領からの「激しい攻撃」による支援でロシア軍兵士1人が死亡、部隊員を拘束しようとしたFSB職員1人も死亡したと述べた。また、「テロ攻撃」に対抗するなかで、爆弾や銃弾、地雷が見つかったとしている。
プーチン大統領は、ウクライナとの交渉を続ける意味がないとして、米国や欧州各国に対して、ウクライナに行動を改めるよう圧力をかけるべきだと呼びかけた。
クリミア併合に伴うウクライナ東部の対立で、約9000人が死亡したとされる。
クリミア併合そのものはほぼ無血で実施された。国際的な承認がないまま2014年3月16日に実施された住民による投票で、併合が決定された。
これを受け、米国と欧州連合(EU)はロシアに対して経済制裁を科した。
(英語記事 Russia accuses Ukraine of attempted Crimea 'incursions')