「いないいないばあ」は、赤ちゃんとの遊びの定番なので、多くのパパママは、赤ちゃんにやってみたことがあるでしょう。
ところで、赤ちゃんがいないいないばあで笑う理由を知っていますか?
また、生まれたての赤ちゃんにやってみても反応がないことや、いつから笑うようになるのかは知っていますか?
いないいないばあは、遊びやあやし効果だけでなく、ワーキングメモリーを鍛える知育効果もあることが分かっており、そのメカニズムを理解して適切に行うことで、遊びながら知育を実践することができます。
この記事では、赤ちゃんがいないいないばあで笑う理由と時期、知育効果のあるいないいないばあのやり方、笑わない理由について紹介します。
いないいないばあとは
いないいないばあとは、赤ちゃんと向かい合った状態で、「いないいない・・・」と言いながら両手で顔を覆うようにして隠し、「ばあ!」と言う声と同時に両手を広げて赤ちゃんに顔を見せる遊びです。
いないいないばあは、赤ちゃんと遊んだり、ぐずる赤ちゃんをあやしたりする時によく使う遊びです。
最近は、いないいないばあが前頭前野を刺激してワーキングメモリーを鍛える知育効果があることが分かり、知育として意識的に行うパパママも増えています。
ワーキングメモリーとは
ワーキングメモリー(working memory)とは、ある作業をするために、情報を短時間だけ覚えておく能力のことです。
ワーキングメモリーは、日常の会話、料理、読み書き、計算など、日常生活のあらゆる場面で必要になります。
例えば、料理する時は、手順を思い浮かべて順番に作業しますし、暗算する時は、数を思い浮かべて足したり引いたりします。
この「思い浮かべておく=覚えておく」能力がワーキングメモリーです。
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赤ちゃんがいないいないばあで笑う理由
大人の場合、相手が両手で顔を隠しても、手の後ろには相手の顔があることが分かります。
これは、ワーキングメモリーの働きにより、物が見えなくなっても、そこに物が存在し続けていることを覚えておけるからです。
ところが、生まれたての赤ちゃんはワーキングメモリーが未熟で、目の前にあった物が見えなくなると覚えておくことができず、「なくなった」、「いなくなった」と勘違いします。
そのため、いないいないばあでパパママが両手で顔を隠すと、「パパママがいなくなった。」と悲しくなって泣き出し、両手を広げると「パパママが突然現れた。」と思って驚きます。
それが、月齢を経るにつれてワーキングメモリーが鍛えられていくと、物が隠されても「そこに物があり、すぐにまた出てくるだろう。」と予想できるようになります。
そして、パパママが両手で顔を隠しても「すぐにまた出てくるだろう。」と予想し、予想通りにパパママの顔が現れると、「やっぱり!」と嬉しくなって笑うようになるのです。
赤ちゃんがいないいないばあで笑う時期
いないいないばあで赤ちゃんが笑うようになるのは、生後5ヶ月~生後6ヶ月からというのが一般的です。
赤ちゃんがいないいないばあで笑うようになるまでの過程を見てみましょう。
新生児期(生後0ヶ月):いないいないばあに反応しない
生まれたての赤ちゃんは、パパママがいないいないばあをしてもピクリとも反応しません。
まだ、目がほとんど見えていないので、いないいないばあの動作に気づくことができないのです。
耳はしっかり聞こえているので、パパママの声を聴いて、「話しかけてくれている!」と嬉しい気持ちになっている可能性はあります。
しかし、自力で笑ったり身体を動かしたりすることもできないので、気持ちを表現することもできません。
そのため、結果的にいないいないばあに反応しません。
生後1ヶ月~生後2ヶ月:いないいないばあをすると、いなくなったと勘違いする
視力や視野が少しずつ向上し、動く物を目で追う「追視」の力も未熟ですが機能し始める時期です。
焦点の合う位置でなら、赤ちゃんはパパママのいないいないばあが見えるようになります。
しかし、ワーキングメモリーが未熟なので、パパママが両手で顔を覆うと「いなくなった」、両手を広げて顔を見せると「突然現れた。」と勘違いします。
つまり、「パパママが同じ場所にいて、両手で顔を隠しているだけ。」ということが、覚えていられないので、いないいないばあをしても笑うことはありません。
ただし、赤ちゃんが反応しなくても、いないいないばあを繰り返すことで前頭前野が刺激されているので、積極的に遊んであげましょう。
生後3ヶ月~生後4ヶ月:いないいないばあを理解し始める
赤ちゃんは、何度もいないいないばあで遊んでもらううちに、パパママが両手で顔を隠しても「顔がそこにあったこと」を覚えておけるようになり、「すぐにまた顔を見せてくれるだろう。」と予想できるようになります。
ただし、生後3ヶ月~生後4ヶ月頃は、まだ「ばあ!」という声と同時にパパママの顔が見えるとハッと驚き、笑うというよりビックリする方が多いでしょう。
生後5ヶ月~生後6ヶ月:いないいないばあが楽しめるようになる
赤ちゃんは、生後5ヶ月~生後6ヶ月頃には、「いないいない」でパパママの顔が見えなくなっても、「手の向こうに顔があって、すぐに顔を見せてくれるだろう。」としっかり予想できています。
そして、予想どおりパパママの顔が現れると、「やっぱりね!」と嬉しくなって笑うようになります。
知育としての「いないいないばあ」のやり方
- 赤ちゃんに声をかけて、パパママの顔を見るように促す
- 「いないいない...」と言いながら、両手で顔を覆う
- 指の間から、赤ちゃんが顔を見ているのを確認する(ただし、赤ちゃんと目が合うと効果が薄れるので注意する)
- 「ばあ!」と言いながら、覆っていた両手を広げて笑顔を見せる
- 「ママだよ~」、「びっくりした~?」などと声をかけて、赤ちゃんに触れる
- 赤ちゃんが慣れてきたら、ハンカチやタオルなどで頭全体を覆ったり、顔を隠している時間を長くしたりする
パパママがいないいないばあしても、赤ちゃんが別のことに夢中になっていると効果がないので、声をかけてパパママの顔に注意を向けさせてから実行しましょう。
顔を隠している時に目が合うと、赤ちゃんは両手の後ろに顔があることを確信してしまうので、目はしっかり隠します。
いないいないばあを始めたての頃は、赤ちゃんが不安や驚きを感じることがあるので、「いないいない」と「ばあ」の間隔を短くし、「ばあ!」の後は必ず赤ちゃんに笑顔で声をかけ、身体に触れてあげてください。
赤ちゃんは、何度も繰り返すうちに慣れてきて、脳への刺激も穏やかになっていくものです。
そのため、ハンカチなどで顔全体を覆う、顔を隠す時間を伸ばす、ふすまやドアを使っていないいないばあをするなど、バリエーションを増やしてみましょう。
いないいないばあで赤ちゃんが笑わない理由
ほとんどの赤ちゃんは、いないいないばあが大好きで、パパママがやってあげると歓声を上げて笑ってくれるものです。
しかし、中には、どんなにいないいないばあをしても笑わない赤ちゃんもいます。
原因は、2つ考えられます。
いないいないばあで赤ちゃんが笑わない理由:個人差
赤ちゃんの成長発達は個人差がとても大きいものです。
よく笑う赤ちゃんもいればそうでない赤ちゃんがいますし、笑いのツボもそれぞれ違います。
また、ワーキングメモリーの身につけ方も個人差があるので、生後6ヶ月頃にいないいないばあを理解する赤ちゃんもいれば、生後10ヶ月前後になって理解する赤ちゃんもいるものです。
さらに、パパママのいないいないばあには反応するのに、ジジババのには反応しないという赤ちゃんもいます。
いずれも個人差によるものなので、無理に笑わせようとせず、赤ちゃんの成長を見守ってあげましょう。
いないいないばあで赤ちゃんが笑わない理由:自閉症(疑い)
自閉症の子供の生活歴を見てみると、赤ちゃんの頃にいないいないばあを見ても笑わないことが多いものです。
ただし、自閉症と診断されるのは生後3歳以降が一般的で、赤ちゃんのうちに診断がつくことはほぼありません。
また、自閉症の場合、いないいないばあで笑わないだけでなく、人見知りをしない、後追いがない、視線が合わない、真似をしないといった複数の症状があるものなので、心配しすぎないようにしてください。
気になる場合は、早めに小児科の医師に相談してみると良いでしょう。
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まとめ
赤ちゃんがいないいないばあで笑う理由と時期を中心に紹介しました。
赤ちゃんは、いないいないばあで繰り返し遊ぶうちにワーキングメモリーが鍛えられ、目の前の人や物が見えなくなっても、「いなくなった」、「なくなった」とあきらめず、「ここにいたはず・・・」、「どこ行ったかな?」と考えて探し始めるようになります。
こうした活動がさらに脳を刺激・活性化させ、赤ちゃんの能力を高めていくことになるのです。