蝉と踊る八月

お嬢様、おぼっちゃま、ご機嫌麗しゅうございます。新山でございます。


先日、夜の散歩の途中で雄のカブトムシを捕まえました。やはりサイズは小さめですが、東京にも生息してるのだなと、少し嬉しくなりました。

折角出会った縁ですし私の部屋でもてなそうと連れて参りましたが、このカブトムシ、舌が肥えているのかちょっと値の張る黒糖を使った黒蜜でないと口にしません。おのれ虫けら。

黒糖好き、ということで名前は「こくとう執事」と命名。イントネーションはご想像にお任せします。

まあ少しの間、共に夏を過ごそうと存じます。一寸の虫にもほにゃららら。飛んで火に入るなんとやら。なり。

夏と虫、といえば忘れられない思い出がございます。


遠い夏の日に、蝉の声を聞きました。
みんみんじわじわ、いつものやかましいそれではなく、深くてか細い哀しい声です。


私の小学生の頃のあだ名は、「29番」でした。

小学生ですし、あだ名はころころと変わりましたが、悪い意味で一番印象に残っているあだ名です。

私は東京の学校に入学して、その後すぐに転校、四年生まで群馬で過ごし、五年生の夏前に再び東京の同じ学校に転校しました。入学時、戻って来た時、どちらも出席番号は29番。それがそのまま私の呼び名。

入学してから三ヶ月程で転校した私には、東京に戻ってきても再会を喜ぶ友人も居らず、少しの間は肩身の狭い思い。


一ヶ月経つと、トモダチも出来てなんとか一つのグループにひっつくことになりました。文字通りひっつくこと、ですが。

所詮はよそ者。扱いはとても友達、と呼べるものではありませんでした。いわゆる軍団の下っ端要員。使いっぱしり。表面上のトモダチ。

それでもただただ、ひっつくことだけ。

転校で友達を失った私には、一人になることは寂しすぎました。嫌われなければ良い、一人になるよりは全然良いのだと、言い聴かせます。


少し時が流れ、夏休みが終わる頃。小学校だと、夏休みの間にプールの講習があります。プールを終えたその帰り。

ともだちは皆で遊びに行く様子。当然誘いはありません。付いて来られるのも迷惑と、集団で固まってさっさと帰って行きました。

明るいは俺達、暗いはお前。白は俺達、黒はお前だけ。そんな声が聞こえた気がしました。


一人で歩く帰り道。その途中に見つけた、道に転がる蝉の死体。カブトムシと違って別段珍しくもありません。夏ももうじき終わります。


一匹の野良猫が蝉に近づきます。死体でお手玉でもするのでしょうか。

猫が触れると突然、ジジジジ!と蝉が動きました。びっくりしました。まだ息があったようです。

アスファルトを転がって逃げる蝉。追いかける猫。ジグザグに動く不恰好なダンス。

すると、次の瞬間でした。
蝉が車道の真ん中に逃げ、追いかける猫。車のエンジン音。

危ない!と思って間も無く、車が目の前を通りすぎます。

道路には死体が二つ、ではなく蝉だけが残っておりました。

猫はどうやら間一髪逃げられたようです。

ジジ…、と弱々しい蝉の声が途切れました。

きっと偶然です。でもその時、蝉が狙ってやったように思えました。自分だけは嫌だ、と。連れていこうとしたかのように。

車道に横たわる蝉の暗い目が、私が来るのを待っている。その時の私には、そう思えたのです。

怖くなって、慌てて逃げて帰りました。


眠っても眠っても、その時の光景は焼きついて消えません。


そしてまた、プールに行って、帰る日々。あの道は暫く、通ることありませんでした。


「おい、29番。」

夏休みも残り2、3日。いつも通りプールの帰り。トモダチから遊びに誘われました。

時々、気まぐれに遊びに誘われるのですが、行ったところで楽しくはありません。

ゲームの順番はいつまでも来ない、鬼ごっこではいつも鬼、時には待ち合わせ場所に行っても誰もいないこともありました。

でも、誘われたらいつも頷いて付いていくのです。一人はいやだったから。


「行かない。」

はっきりと言いました。

頭の中では、あの光景。恐怖と、あと何か弱々しい強いモノ。

「は?」

まるで外国人にいきなり話しかけられたかのような反応。本当に分からない、といった表情。

「つまんない。友達じゃないトモダチと遊んでも。」

蝉が踊っています。ジグザグに。不恰好に。

「お前…、何いってんの?」

分からない。ただ、一緒に踊ってるだけです。ジグザグに。不恰好に。あとは、死ぬだけ。

こうして一度、全てを失いました。
あとは、また手に入れるだけです。


前を向いて歩き出します。後ろでは、誰か達がボソボソ言っておりましたが、無視です。蝉だけに。いえ、なんでもないです。

あの道を通って帰りました。当然ですが、蝉はもういません。お礼などは言いません。別に勇気を貰った訳でなし。ただ、踊らされて、踊っただけです。

お前の所為だ、と文句の一つでも言いたかったですけれど。


その後、普通に友達もできて楽しい日常を過ごせました。失ったものは大して多くもなかったみたいです。

あのグループは仲違いから勝手に分裂し、その中の数人とは改めて友達になりました。

あと、少し強くなりました。それから、少しお腹が黒くなりました。


あの時に感じたモノの正体は今でも分かりません。元々、そんなものあったのかどうかも。

ただ、感情、衝動、何でも構わないから、何かがあったのだと、私は信じたいです。

でないと、私は一人で強くなったみたいで、何故か寂しさを感じてしまうので。


皆様も夏の終わり、横たわる蝉にはお気を付けくださいませ。


夏が来ると思い出します。

こんな思い出があったような、なかったような。



今日もいい日でありますように。

新山

Filed under: 新山 — 10:00

製氷

鳥海でございます。

暑うございます。
この時期には氷の精霊の力を借りた氷室が生命線でございますね。

私は自室の氷室の氷を切らさぬように心掛けております。水が氷になるには時間が掛かってしまいますので。ストッカーにこんもりと盛られた氷を見てひとりで悦に入っております。

近頃は自動製氷をしてくださる氷室も存在するようでございますが自室にそのようなハイテクなものはございませんので思い立ったらすぐ製氷器の確認を致します。

あのひねった時にまだ凍りきってない時の、氷の中に空気が入り込んでしまった時の何とも言えぬ敗北感といいましたら…

他には牛乳を凍らせて薄くならないアイスミルクティーを作るなど、夏は製氷器が大活躍でございます。

さて、夏は何かしら涼しくなれる心のオアシスのようなものがあるとよろしゅうございますね。熱中症などにお気をつけてご健勝であらせられますように。失礼致します。
Filed under: 鳥海 — 10:00

季節を楽しむ

黒崎でございます。

まだまだ、お給仕に慣れたというには程遠く、

先輩フットマンの方々の背中を見ながら学ぶ日々が続いております。


お給仕を終えた後も、学ぶことは多く、

自室に戻っては机にかじりつき、紅茶やお酒の勉強をしております。

勉強に集中したいとき、最近の不安定な気候がうってつけでございます。



その訳は、「雨」



雨の音には、集中力を高めるθ波という音波が流れております。

心を落ち着かせ、欲求を抑え、目の前のことに没頭させてくれます。

雨は気持ちを憂鬱にさせることもあるとは存じますが、私は大好きです雨の音。

雨が多いこのような季節こそ、雨を楽しみたいものですね。




しかし、心の雨が止まないときは、私がそっと傘をさしましょう。
Filed under: 黒崎 — 10:00

大きなひまわり


ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

先日ファーストフットマン環と二人、大旦那様から仰せつかった用事へと向かった出先にて、大きなひまわりを見つけました。

私よりも環よりも、おそらく大河内や水瀬よりも背の高い大きなひまわり。


気がつけば一年も折り返しを過ぎ、新しく始めたことも落ち着き始め、逆に停滞した現状にもどかしい思いをすることもあるかと存じます。

それでも、最初に抱いた気持ちを忘れなければきっと成長が止まることはございません。

お嬢様の目標がこのひまわりのように大きな花をつけるまで、陰ながらお側にいられたらば幸いです。

太陽に向かって咲くひまわりの花言葉は『憧れ』でございます。


暑い日が続きます、どうぞ熱射病などにはお気をつけて素敵な夏をお過ごしくださいませ。



隈川
Filed under: 隈川 — 10:00

筋書きのないドラマ


梅雨も明け、蝉の声とともに本格的な夏が感じられるようになりましたが、お嬢様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。


くれぐれも夏バテにはお気をつけいただきたいところでございますが、寝不足を予感させる日々が待ち受けておりますね。


4年に一度のスポーツの祭典、オリンピックの開幕でございます!


今回もさまざまな感動がうまれる事かと思うと、すでに興奮が始まっている香川でございます。


この調子では睡眠時間は何時間になることやら…。


お嬢様方もあまり夜ふかしは、、、


え?


現地で見るから問題ない?
し、失礼しました。取り越し苦労でございましたね、いやいやお恥ずかしい。


日差しが強いと聞いておりますから、日焼け対策は十分なさって下さいませ。


土産話を楽しみに、お帰りを首を長くしてお待ちしております。

Filed under: 香川 — 10:00

ビル街の中に

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
生駒でございます。

最近は湿度も高く、気温も高いお天気が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

私はまた町をぶらりと散歩しておりました。
今回は永田町から新橋を散策致しました。

まずは遠くからの最高裁のお写真からまいります。


虎ノ門ヒルズ。とても高うございました。
見上げていたら後ろに倒れそうになってしまいました。


新橋の日比谷神社でございます。
道を行き交う人々や道路を走る車を見守っておられました。


今回はこちらの日比谷神社でお嬢様の健康を祈願致しました。

長かった梅雨もようやく明け、いよいよ夏本番、ますます暑くなってまいります。
夏風邪などにはくれぐれもお気をつけくださいませ。
どうか元気なお姿で帰ってきてくださいませ。
お待ちしております。

生駒
Filed under: 生駒 — 10:00

暑い日にはやっぱりシャーベット

小金井でございます。
お嬢様、お坊ちゃまご機嫌いかがでございますか?
おそらく、暑い、この一言に尽きるでしょう。
私も暑さで溶けてしまいそうでございます。
そこで、私の考案したシャーベット「ゴールデンキウイと
ボイセンベリーのシャーベット」を涼しいサロンにて
召し上がってみてはいかがでございますか?
酸味のきいたおいしいシャーベットが待っておりますよ。
前回は、梨とヨーグルトのシャーベットでございました。
梨が好きだから梨を使ったシャーベットにしよう、なんだかヨーグルトと
合わせたらおいしくなりそう…といった感じで出来上がりました。
今回は、ゴールデンキウイとボイセンベリー、キウイが好きだから
キウイを使ったシャーベットにしよう、なんだかボイセンベリーと
合わせたらおいしくなりそう…という感じなので大体前回と
いっしょでございます。
私も、私のシャーベットをお出ししている最中は毎日キウイを
食べて、キウイ週間にしたいと存じます。
キウイはお肌にも良いようですし、お嬢様もレッツキウイ週間でございます。
Filed under: 小金井 — 10:00

花火

お嬢様、いかがお過ごしでございますか?

夏が大好きな市丸でございます。




8月は、お盆や甲子園、夏祭りそして花火大会がございますね。

お嬢様、花火は好きでございますか?

美しい色、刹那に響く音、一瞬にかける想い。

宇宙の歴史からみたら、私の一生も花火なのかもしれません。
Filed under: 市丸 — 10:00

日誌

春夏よりも秋冬。そればかりは一生変わらないのではないかと感じております。
大河内でございます。

どれだけ秋冬が素晴らしいかを語りますと1年分の日誌を費やしてしまいそうなので黙っておきますが。
今回はそれだけ厳しい夏の数少ない楽しみの一つについて認めようかと存じます。



お嬢様「ハイボール」というカクテルをご存知でございましょうか?

そもそもカクテルとよんでよいものかどうかという認識でございましょう。


元々何をハイボールと称するかという議論もございますが、
世間一般的にはウィスキーのソーダ割りのことをさす場合がおおございます。



夏はそのハイボールとビールががまことに美味しい。五臓六分染み渡るとはまさにこのことでございましょう。
生きる幸せを感じる瞬間でございます。


ワインも勿論美味しいのですが火照って汗ばんだ身体と乾いた喉を潤し冷ますその味わいは本能が求めるものでございます。

ワインでは決して得られない高揚がございます。



女性が口になさるのでしたら白ビールことヴァイツェンでしたり、スプリッツァーなどもオシャレでよろしいかもしれません。
(シャンパン素晴らしい液体ではございますが残念ながら同じ区分には入りません)

真夏の暑さの中でしか満たせない欲求もございます。召し上がってみてはいかがでございましょう。

Filed under: 大河内 — 10:00

カンパニュラ

影山でございます。



使用人としても、人としても、一番尊敬していた方が遠くに行ってしまうことを知り

気恥ずかしい部分もございましたが、

感謝の意を込めてその旨を当人にお伝えしました。




わたくしにないものを沢山持っておりました。

出来ない己を見ず、ただ他人の背中を見つめ、

わたくしは力を頂いていたのでございます。


その源である力が失われるのでございます。











少し風に当たってくると致しましょう。





風に乗ってより高くそして美しく飛び立つのでございましょうね。


Filed under: 影山 — 10:00