買い入れ枠倍増の効果
筆者にとって、7月28、29日の金融政策決定会合は、ほぼ「ゼロ回答」に等しかったという認識だった。しかし、マーケット関係者の評価は、どうやら異なるようだ。
特に、株式市場関係者の間では、日銀がETFの買い入れ枠を、従来の3.3兆円から6兆円にほぼ倍増させたことが、日本株(というよりむしろ日経平均などのインデックス)独自の押し上げ要因になるとの見方がコンセンサスになっている。証券会社の中には、この買い入れ枠の倍増の効果は、日経平均株価に換算すると1,000円以上になるとの試算を出すところも出ている。
確かに8月9日時点の終値でみると、日銀の金融政策決定会合が開催された7月29日から、ドル円レートは0.08%の円安にとどまっているのに対し、日経平均株価は1.18%の上昇となっている。
2012年1月4日から2016年8月9日までの日経平均株価とドル円レートの関係に基づき、2016年8月9日のドル円レートの水準から計算される日経平均株価の想定値を試算すると、1万4,465円となる。同日の実際の日経平均株価の終値は1万6,765円だったので、単純に考えると、ドル円レートの水準から想定される日経平均株価の水準を2,300円上回っているようにみえる。
だが、統計学的には、為替レートとの相関性だけで考えた場合でも、標準誤差を考慮すると、日経平均株価が1万6760円程度の株価になることが可能性としては十分ありえる。そのため、今回のETF買い入れ枠拡大の効果が早くも出ているのかどうなのかはこれだけでは明確にはいえない。
そもそも、日銀によるETF購入が日経平均株価にプラスの効果をもたらすとの指摘は従来からあった。
そこで、過去の日銀のETF購入と日経平均株価の関係を統計的に検証してみると、意外な結果が出た。具体的にいえば、日銀がETF購入を実施した日の日経平均株価は統計的に有意に前日比マイナスになっていたのである。すなわち、統計学的に検証する限りにおいては、日銀によるETF購入によって、平均的には株価はむしろ下落したという結果になったのである。
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