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 市民の戦争体験記を毎年夏に出版している新風書房(大阪市天王寺区)が第29集となる「孫たちへの証言―『あの戦争』記録することで生き続ける」(税別1500円)を刊行した。13日には執筆者による体験談の朗読発表会がある。

 「孫たちへの証言」は、新風書房代表の福山琢磨さん(82)が1988年、主宰する自分史教室に戦争体験者が多いことから文集として創刊。3年目から公募している。戦争体験者が年々少なくなっていることから、今回初めて「伝承編」を設けた。筆者に直接会うなどして内容を確かめ、体験編65編、伝承編12編の77編を掲載した。

 このうち新潟県の72歳の男性は4年前、90歳で死んだ母の遺品を整理中、たんすの奥の風呂敷包みから父の写真やはがきを見つけた。母のおなかにいる時に出征した父は戦地から軍事郵便に「父母の先、ツケ木の先です」と記していた。男性は「『父母』は父島、母島、『ツケ木の先』は松の幹から採る硫黄のことでは」と思い、はがきに記された部隊名から記録をたどり、父が眠る地が硫黄島と確認。巡礼の旅に参加し、「お父さん」と石碑を抱きしめた。

 福山さんは「生きている世代が…

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