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平和託す…79歳から19歳へ、使命脈々と

祖母の岡田恵美子さん(右)から原爆に対する思いを聞く富永幸葵さん=広島市中区で、山田尚弘撮影

 8歳で被爆した広島市東区の岡田恵美子さん(79)は6日、あえて広島を離れた。横浜市の平和イベントに参加し、若い世代に被爆体験を証言するためだ。広島では同日夕、岡田さんの活動を近くで見てきた孫の富永幸葵(ゆうき)さん(19)が平和記念公園での催しに参加し、核兵器廃絶や平和について考える。

     富永さんは今春、ダンスのインストラクターとして社会人になった。「自分にできる平和発信を」と考える富永さんは7月、勤務する広島市内のダンス教室に祖母を招き、小中高の生徒ら約30人に話を聞いてもらった。

     岡田さんは爆心地から約2.8キロの自宅で被爆し、四つ上の姉を失った。「子どもの時は運動会もできなかった。今ダンスができるのは平和だから。平和は当たり前にあるものじゃないんよ」

     証言を聞く生徒は当時の岡田さんや姉と同じ年ごろ。涙を流したり、「家に帰って家族がいる、当たり前の生活の大切さが分かった」などと感想を話したり、帰宅後に家族に岡田さんの話を伝えたりした子もいたという。

     岡田さんは2009年春、11歳の孫に初めて被爆体験を語った。原爆資料館に行き、被爆した子どもたちの制服、バックルなどを見せた。「みんな、ゆうちゃんと同じぐらいの年齢で命と魂が消えた遺品なんよ」。富永さんは遺品の数々をじっと見つめていた。

     この後、祖母は孫の行動力に驚かされる。この年の5月、米ニューヨークの国連本部での会合に参加する岡田さんに同行すると言いだし、オバマ米大統領の娘2人に「会いたい」と手紙を書いた。現地ではスピーチもした。「広島で生まれた子どもは原爆の恐ろしさを伝えていく責務がある」と訴えると、米国の市長に求められて握手した。岡田さんは「国や言葉が違っても、対話をしながら平和をつくる。これがスタートなんだ」と感嘆した。

     富永さんは、教え子たちも平和を考え発信してほしいと思っている。6日夕、漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さんが晩年に作詞した「広島 愛の川」を歌うイベントに、教室の生徒と共に参加する。

     「これからはあなたたちの世代」と岡田さんは言う。「体験を語ることはできないけど、ダンスを通じて平和を発信していきたい」と孫は語る。被爆者から若い世代へ、思いが引き継がれていく。【寺岡俊】

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