アレッポの戦いについては、反政府軍側が全アレッポの解放戦が始まったなどと豪語し、政府側は東アレッポの解除すら失敗したなどと主張している状況ですが、al qods al arabi net （パレスチナ系紙のネット）は、アレッポの戦いは長期の消耗戦になる可能性が高いとの分析記事を載せています。
記事の要点は次の通りですが、記事は、長期戦となる最大の背景として、政府軍、反政府軍共に十分な兵力を有していないとしているところは、非常に冷静な見方ではないかと思うので、取り敢えず参考まで

アレッポでは激しい戦闘が行われているが、政府軍、反政府軍共に、短期間で決定的勝利を得ることは難しく、長期消耗戦となる可能性が高い。
アレッポでの戦いは、確かに同市が２０１２年に分割されて以来、最も激しく、今後の運命を決める重要性を有している。
反政府軍のファタハ軍は、旧ヌスラ戦線を含み、２０１５年には２の都市を除き、イドリブ全域を支配したが、この連合勢力は基本的にトルコ、サウディ、カタールからの支援を受けている。
この連合勢力の兵力は全体で、３〜４万人と見積もられ、そのうち１００００人がアレッポ戦線にいる
彼らはまた数千人のアラブ、外国人聖戦主義者を含んでいる。
彼らの主要兵器は、政府軍から押収した戦車、ＡＰＣ，大砲等であるが、一部の反政府軍が米国から入手したＴＯＷ対戦車ミサイルも保有している。
さらにアレッポの戦闘が始まってから、初めて他の新式武器も供与された（注；具体的な兵器の種類等不明）
最も脅威的な兵器はヌスラ戦線等による自爆車による攻撃である。
他方政府軍は、シリア人民兵の他、イラク人、イラン人、ヒズボッラー等を含み、その中にはイラン革命防衛隊、ヒズボッラーのラドワン軍等のエリート部隊を含んでいる。
最近政府軍は、その他の地域から３〜４００００人の増派と１００台の戦車、４００台のＡＰＣ等を送った。
彼らの強みは、その兵器のほか、基本的にはロシア空軍及び政府軍機の航空優勢にある。
反政府軍にとって、アレッポは革命を広げる首都であり、またアレッポを失うと、イドリブと言う地域に閉じ込められることを意味している。
他方政府にとっては、アレッポの全面支配は、反政府軍をイドリブに閉じ込め、国際的な立場を強化し、交渉上の立場を強化することを意味している。
しかし、双方ともにほかの戦線も抱えて、アレッポだけに兵力を集中させることもできない状況にある。
政府は兵員の不足と言う状況を抱え、南部等から更に兵員をアレッポに増派することはできない。
反政府軍も兵力の不足等から、全アレッポを支配することはできない。
専門家は、反政府軍が全アレッポの解放を宣言したことは、短期的には、政府軍側の補給線の全面的崩壊の場合を除いては、非現実的であるとみている。
http://www.alquds.co.uk/?p=579363