体操男子団体 4位で決勝進出

体操男子団体 4位で決勝進出
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リオデジャネイロオリンピック、体操の男子団体の予選で、金メダルを目指す日本は4位で決勝に進みましたが、ミスが相次ぎ決勝に向けて課題が残る内容となりました。
体操の男子は団体と個人総合、それに、種目別の予選を兼ねています。アテネ大会以来、3大会ぶりとなる団体の金メダルを目指す日本は、エースの内村航平選手が跳馬や平行棒などで、また、初出場の白井健三選手がゆかと跳馬で高い得点を出しました。しかし、内村選手が得意の鉄棒で落下するなど、チーム全体で鉄棒と平行棒でミスが相次ぎ、6種目の合計で269.294と、日本は4位にとどまりました。予選の1位は中国、2位がアメリカ、3位はロシアでした。日本が金メダル獲得を目指す体操の男子団体の決勝は8日に行われます。

水鳥監督「気持ちを作り直す」

体操男子の水鳥寿思監督は「練習でできていたのに、できなかったことがかなり多かった。オリンピックの雰囲気の中、演技を調整できなかった」と予選を振り返りました。そのうえで、「会場の雰囲気や器具の感触は、改めて分かったと思う。技術的な問題ではないと思うので、しっかり気持ちを作り直さなければならない。選手と話をして、決勝には自信を持って臨ませたい」と巻き返しを誓いました。

森泉コーチ「本来の6割程度の出来」

体操男子日本代表の森泉貴博コーチは「本来の6割程度の出来だった。状態は右肩上がりだったので、過信まではいかなくても、安心感があっての失敗だった。平行棒での失敗や鉄棒の内村の落下などは、ここ数日、数週間見ておらず、驚いたが、『これがオリンピックだ』とも感じる」と話していました。

また、地元・ブラジルへの大歓声の中での演技になったことについては、「おととしの世界選手権で中国、ロンドンオリンピック、去年の世界選手権でイギリスと、地元への歓声の中で演技をする経験はしていても、いざ現地で感じると、すごくやりづらい感じがあったのかもしれない」としたうえで、「ここまで来たら、いかに自分に集中するかがポイント。決勝も大歓声の中でやることになると思うので、そのあたりは選手としっかり話しあってやっていきたい」と話していました。

内村「ロンドンとは違う」

体操男子の日本のエース内村航平選手は「鉄棒で落下はあったが、最後のゆかで踏ん張ることができたし、鉄棒以外の種目はわりと自分の演技はできた」と予選を振り返りました。日本は、前回のロンドンオリンピックの予選でも、大きなミスが相次いで予選5位で決勝に進み、銀メダルに終わりましたが、内村選手は「鉄棒はミスの原因がはっきりしているし、ロンドンの時のように『何がなんだかわからない』という感じではない。チームで出たミスも、成功させたい気持ちが強すぎたもので、何かが狂ったわけではないと思うので、ロンドンとは違う」と話しました。そのうえで、「ミスの原因は1人1人分かっているので、そこを考えて解消させて、決勝の日を迎える。まずは、きょうの疲れを取ることから始めたい」と決勝を見据えていました。

加藤「歓声で硬くなった」

予選で6種目に出場し、ゆか以外はすべて日本のトップで演技した加藤凌平選手は、チームに大きな失敗が相次いだ原因について、「地元のブラジルと同じグループで回って歓声が大きく、その中の演技となって、みんな少し動きが硬くなってしまった」と振り返りました。そのうえで、「決勝でも1人目で演技することが多くなると思うので、しっかりバトンをつないでいくような演技をしたい」と意気込みを話しました。

山室「緊張感が足りず」

体操男子の予選で山室光史選手は、跳馬の着地で転倒したほか、平行棒でも落下のミスが出ました。山室選手は「体の反応はよかったが、オリンピックで特別な試合だという緊張感が足りず、演技に入ってしまった。決勝ではもっと緊張感が出てくると思うし、課題を修正して、ミスのない演技で臨みたい」と話していました。

田中「ミスを直して決勝へ」

田中佑典選手は、最初のあん馬で落下し、得意の平行棒と鉄棒でもミスが出て、本来の力が出せませんでした。田中選手は「目標としていた勝負に『強い体操』を見せられず残念だ。体の反応はよく、集中はできていたと思うので、ミスが出たところをしっかり見直して、決勝に合わせていきたい」と話していました。

白井「しっかり役割を果たしたい」

オリンピック初出場で、19歳の白井健三選手は跳馬とゆかの2種目だけの出場で演技の間は会場内の、離れた練習場で、体を動かしていました。白井選手は「ウォーミングアップの会場と行ったり来たりしながら演技するのはこれまでになく戸惑ったが、いろいろと学ぶことができたので、決勝では大丈夫だと思う。ほかの選手の演技を見ていないので、どのくらいミスが出ていたのかはわからないが、自分の役割は雰囲気を明るく保つことと、出場する2種目でいい演技をすること。やるべきことが明確なので、しっかり役割を果たしたい」と話していました。

1位通過の中国「最大のライバルは日本」

予選を1位で通過した中国の林超攀選手は「全体的にはチームとしていい演技ができた。自分はミスが出たが、あしたの練習でしっかり修正したい。決勝に向けた最大のライバルは、去年の世界選手権で負けているのでやはり日本だ。ミスがない演技をできるように、準備を進めていくつもりだ」と、意気込みを話していました。

アテネ主将の米田「決勝ではミスのカバーを」

体操男子の予選をテレビで解説した、アテネオリンピック団体チームのキャプテン、米田功さんは「平行棒で2人に大きなミスが出たことがポイントで、選手やスタッフからは、『練習でないようなミスが出てしまった』と聞いたが、それは試合に近い状況でミスを出し切るような練習が詰め切れておらず、完成度が足りていないのかなと感じている」と日本の戦いを振り返りました。

そのうえで、「全体的に技が難しくなっている分、どのチームもミスが多い。予選1位の中国も完成度は高くなく、日本は大きなミスが出たわりには差はつかなかった。決勝でもおそらくミスは出ると思うが、ミスを最低限に抑えて、次の選手がカバーすることが大事になってくる。着地まで狙っていく日本の美しい体操は今からでもできると思うので、思い切ってやってほしい」と決勝に向けたポイントを挙げていました。

また、アテネオリンピック以来の金メダルを目指す選手たちに「内村選手が『団体の金がほしい』と言い続けているのは聞いているし、その場面を間近で見てみたい。そのためには、思い切って伸び伸び演技することだと思うので、応援したい」とエールを送っていました。