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 東京電力福島第一原発の事故後、入院していた双葉病院(福島県大熊町)から行方不明になり、後に失踪宣告を受けた女性(当時88)の家族が、「事故がなければ失踪することはなかった」として、東電に4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、東京地裁であった。水野有子裁判長は「失踪は原発事故が原因」として、東電に2200万円の支払いを命じた。

 家族の代理人弁護士によると、原発事故と失踪の因果関係を認めた判決は、初めてとみられる。

 訴状によると、女性は認知症で双葉病院に入院。2011年3月12日に原発事故に伴う避難指示が出された後、14日までは生存が確認されていたが、16日に自衛隊が最後の患者を救助した際には姿がなく、捜索でも見つからなかった。家族が申し立てた失踪宣告が13年9月に認められ、法律上は死亡が確定した。