GPIF運用損失が直撃 厚生・国民年金の15年度収支が赤字
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用ベタや、日銀によるマイナス金利のあおりで、年金は着実に目減りしている。
厚労省が5日に発表した2015年度の年金特別会計の収支決算によると、時価ベースの収支は会社員らが加入する厚生年金勘定が2兆7448億円の赤字。自営業者らの国民年金勘定も5009億円の赤字だった。公的年金を運用するGPIFによる運用損失が直撃し、赤字決算は厚生年金が10年度以来、国民年金は08年度以来だ。
一方、年金や退職金を支払うための「退職給付債務」の積み立てに上場企業がキュウキュウとしている実態も浮き彫りになった。
野村証券の集計によると、上場企業の積み立て不足額は2015年度末時点で約25兆6000億円に上り、不足額は前年度末から約7兆7000億円も増えたという。日銀が導入したマイナス金利政策の影響で長期金利が下がり、株価下落による運用利回り低下が響いた。