【台北=薬文江】台湾の対日交流窓口機関、亜東関係協会の実務トップである蔡明耀秘書長は9日、漁業権益を巡る紛争解決などを目指す「日台海洋協力対話」について「革新的な枠組みだ」と述べ、推進する意向を示した。7月末に第1回会合が予定されていたが、台湾側の事情で延期されていた。
5月に発足した民主進歩党(民進党)の蔡英文政権は東京都・沖ノ鳥島を「島ではなく岩」とする前政権の主張を棚上げし、日本と海洋分野の協力関係を深めることで合意した。ただ南シナ海問題を巡る仲裁裁判の判決が、台湾が同海域で実効支配する「太平島」を「岩」と位置づけ、東京都・沖ノ鳥島も「岩」とする議論が台湾で再燃。会合の延期は対立を避けた措置とみられている。
蔡政権は亜東関係協会トップに過去総統府秘書長(官房長官に相当)などを歴任した邱義仁氏を会長に起用し、対日関係の重視を打ち出している。