10億円拠出結論出ず…日韓局長協議
【ソウル米村耕一】慰安婦問題に関する日韓両政府の外務省局長協議が9日、ソウルで開催された。昨年末の日韓合意に基づき、韓国政府が7月末に「和解・癒やし財団」を設立したことを踏まえ、日本側が拠出する10億円の使い方や拠出時期について協議。金杉憲治アジア大洋州局長は協議後、記者団に「一定の進展はあった」と述べたが、拠出のタイミングについては「未定だ」と語った。
今後、協議内容を両国政府内で検討し、最終的な結論が出される見通しだ。
財団設立後の局長協議は今回が初めてで、金杉局長と韓国の鄭炳元(チョン・ビョンウォン)東北アジア局長が出席。協議は約8時間続き、突っ込んだやり取りが行われたようだ。
10億円について、韓国側は元慰安婦の個別の要望に基づき、一定額を現金で支給する方向で検討している。
一方で日本側には、「賠償金」と説明されたり、何らかの運動団体の資金となったりするなど、合意の趣旨と違う使途になることへの警戒感がある。そのため、事業内容を慎重に検討しているとみられる。
和解・癒やし財団
慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった昨年12月の日韓合意で設立が決定され、韓国政府が7月28日に設立。学者やジャーナリスト、政府関係者らが財団の理事を構成し、日本政府が拠出する10億円を原資に元慰安婦やその家族らを支援する。財団に反発し、韓国の元閣僚らが「慰安婦問題の記録保存と研究」を掲げ、別の団体を設立するなどの動きもある。