2016-08-08
『シン・ゴジラ』ミニマムな物語とマキシマムな映像の話
シン・ゴジラ観てきた。うおー!うおーーーーーーー!!!!!
ということで感想を書きます。あまりまとめる気も無く、感情の赴くままに。
ネタバレも何もない作品な気がするけど、当然内容には触れているし、そもそも観てないとあんま意味の分からない文章なので、観てない奴はまず映画館に行ってこい。話はそれからだ。
- 切り詰められた物語
- およそ2時間の上映時間の中で、人間個人のドラマがほとんどなかった。いっそ絶無と言ってもいいくらい。ゴジラという怪物、生きる災害と対峙する、組織としての人間、集団としての人間、群体としての人間を描き続けていた。
- その意味で、日本国という生物とゴジラという生物の純粋な生存競争の物語なのかもしれない。お互いがお互いに憎悪があるのではなく、生きるためにぶつかりあってしまった二つの生物。
- より正確には、ゴジラは、ゴジラ自身が生き延びる為に日本国を攻撃したわけではなく、ゴジラ自身が本能に任せて生存行動を起こした結果、日本国という別の生物の生存を脅かしてしまったために、日本国は生存のためにゴジラを倒さざるを得なかった。ゴジラの発生は、牧教授という一人の人間の悪意(?)の結果生まれたのだとしても、ゴジラ自身には日本国(人間)に対する悪意はない。人間が歩くときに、足元の蟻の行列を気にしないのと同じように。
- 日本国は、他者の悪意にではなく、意思なき自然災害に対するのと同じように、ゴジラに立ち向かうしかなかった。交渉の余地なく、ただ、全身全霊で抗うしかなかった。その必死さが煮詰められた物語だった。だから、その必死さを冗長にするような物語はカットされまくった。
- また、中盤以降で人間の必死さを出すために、人間の愚かさを示すようなエピソードは序盤に詰め込みまくっていた。
- 圧倒的な映像
- ヱヴァQの本編前に流された「火の七日間」を観たときに感じた、「もうヱヴァはひとまずおいといていいから、こういうのてんこもりの作品を一本作ってくれないかな」という願いがかなえられた。ありがとう・・・・・・
- ゴジラの造形の異形さがビンビンきた。
- 上陸した際の形態である第2形態の、コミカルさが残るゆえに、俺達とは絶対に分かり合えないなと思わせるフリークス感。四足ですらなく地を這う怪物のおぞましさよ。
- 御用学者が「あのサイズで地上にあがれば自重で死んでしまう」と言っていたのに、特段の説明もなく普通に生きて、それどころか二本足で立ちさえして、「空想科学読本? 知るかボケ!! 面白ければいいんじゃ! 迫力があればいいんじゃ!!」と言わんばかりの態度。そのとおりです。
- ところで、川を遡行してきたときに、河口に係留されていたのであろう多くのボートが押し寄せてくるシーンにグッと来た。もし自分が、河口から巨大生物が遡行してくるシーンを、何も考えずに映像化しようとしたら、たぶんあの打ち寄せるボートの塊は決して描けない。あれは、意識して描こうと思わなければ描けないものだから。不在を意図的に埋めなければならないから。川=水ぐらいの安直なイメージでは、人の多くいる都会の河口には小型船舶が多くある、というイメージは浮かばないし、たぶんその絵がなくても不自然だとは思わない。逆巻く水と一緒にボートが流れてきて、初めてそこにボートがあるのが正解だとわかる。少なくとも正解だと思える。
- 第3形態以降で、炎・放射線を吐き出すときに、下口が二つに裂けるのがグロよい。
- 吐き出された炎が、質量をともなっているように瓦礫などをまきあげながら地面を舐めていく様よ。
- 第4形態のデカさデカさデカさ。
- 上陸した際の形態である第2形態の、コミカルさが残るゆえに、俺達とは絶対に分かり合えないなと思わせるフリークス感。四足ですらなく地を這う怪物のおぞましさよ。
- ヤシオリ作戦が派手で地味。それがよい。
- ゴジラ周辺のビル群に爆弾を取り付けた自衛隊員たちの勇気に涙を禁じ得ない。いつの間に。
- そういうところで恐怖に震える新兵を励ます古参兵、あるいは恋人の思い出などがあるだろうに、ただ職人芸の結果がそこにあるだけである。
- 崩れ落ちるビル。質量に押し潰されるゴジラ。それなりに知っている場所が、架空の話とはいえああいう映像として成立するのがしびれるなあ。
- 無人在来線爆弾。突っ込んでいった車両が、その勢いのまま、連結ごとに折れながらゴジラの身体を駆け上っていき、爆発。coooooooolです。
- とどめが口から液を注入。本編で作戦内容の説明で「ケイコウ」という言葉が聞き取れ、「え? 蛍光? 傾向? まさか経口?」と思ったら本当に経口だった。絵面が地味。最後の最後で。
- ゴジラ周辺のビル群に爆弾を取り付けた自衛隊員たちの勇気に涙を禁じ得ない。いつの間に。
- その他ぐっときた点
とにかく、約二時間の中に、描くべきものを絞りに絞って全速力で描き切った、という印象。息つく間もなくハラハラしどおしだった。となりに座っていたガキは、会議シーンが多かったせいだろう、途中飽きてきて、こっちが気になる程度に身じろぎしたり、しまいには居眠りしていた。子供ならさもありなんと思うが、大人の今では、その会議シーンすら面白い。ゴジラの映らない会議シーンでも、人間が非力な叡智を結集してなんとか対抗しようとしているのが伝わってくる。人間は考える葦である、とはよく言ったものだ。考えることができるからこど、それによって生み出したもので、自分よりはるかに巨大な存在に対抗しうる。
卑小な一個人に世界は救えない。一人の天才ごときではどうしようもない。一人一人の個が群となってはじめて、圧倒的な存在に抗しうることができる。
私は、最近そういう物語がどうにも好きなようです。
また観よう。今度は、観客のより少ない時間を見計らって、ホームシアター状態で観よう。
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