【コラム】韓国社会にはびこる「犬豚」たち

【コラム】韓国社会にはびこる「犬豚」たち

 権力者にこびへつらう者、外部の勢力に対し卑屈になる者、貪欲で素行の悪い者、義理を捨てた者…歴史家たちはこのような者たちを「犬豚」と呼んだ。

 ある公務員のせいで「犬豚」という言葉が誤用されている。かつての史官(文書や記録を担当した官吏)たちにとって「犬豚」とはそれほど価値のない言葉ではなかった。それは民衆ではなく、貪欲な権力者たちに向かって後ろ指を指すときに用いる言葉だった。「犬豚のようだ」とも言った。極度に貪欲な姿勢に対しては「犬豚にも劣る」と表現した。当時は王に直接訴えるときにそう表現し、実録にそのまま記載されて後世に伝えられた。

 朝鮮王朝時代の史官は最高の教養を持つ人たちだった。その史官たちが書いた朝鮮王朝実録の文章が、そんなに乱暴なものだとは思わなかった。朝鮮王朝中期の高官だった高孟英(コ・メンヨン)について評価した文章を読むと、ひやりとさせられる。その名前の3文字が出てくるたびに、とげとげしい表現になる。「犬豚にも劣る」という酷評だけでは怒りが鎮まらなかったのか、「ネズミやキツネのような存在」「九尾のキツネ(尾が9本あって、人間をたぶらかすという伝説上のキツネ)」とも表現した。弘文館(宮中の書物の管理を担当したり、王の諮問に応じたりした機関)の副提学(ナンバー2)まで務めた高官に対し、なぜここまで激しい表現をためらわなかったのか。

 権力者にこびへつらい、国を惑わしたというのがその理由だ。「権力者の前で奴隷のように卑屈になり、地位を固めた」という。高孟英が要職に就くと「識者たちが唾を吐いた」と酷評した。同じように権力者にこびへつらった文官の李戡(イ・ガム)もまた「犬豚」呼ばわりを免れなかった。「父親を父親と思わないようなそぶりを見せながら、権力者には『主人』のようにこびへつらった」という。同じ派閥に属したイ・リョンは「法官(裁判官)のときにみだらな行為をし、外交使節となって欲を高めていった」との理由で「犬豚」の仲間入りをした。文官の李艤(イ・ウィ)については「権力者にノミのようにひっつき、宰相までも尻に敷いた」との理由を挙げ、「犬豚」に分類した。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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