こんちは。
長らくご無沙汰しておりました。キノです。
本業が忙しく、朝起きる⇒働く⇒終電で帰る⇒寝る⇒起きるを繰り返してました。
風呂入ってないとか、歯磨いてないとか、ご飯食べてないとかいうツッコミは全て全力で無視します。あ、でもシャドウバースがA1ランクまで上がってるのでそれは言い訳に過ぎないことに今気付きました。
さて、久しぶりのブログは真面目な内容で。
ジェコス株式会社の株主優待がいつの間にか廃止になっていたというお話。
突如、株主優待の廃止やハードルを上げる企業は別に珍しい話ではないんですが、今日はここをもうちょっと掘り下げてみたいと思います。
そもそも株主優待で何貰えてたのか。
ジェコス株式会社の優待は「3000円程度の日用品」を貰えていました。
去年は社名入りのヤカンを貰った気が致します。
「ジェコス ヤカン」で検索したらたくさん画像が出てきました。
最近は優待でもらった物をブログやHPのネタとしてアップしている方が多いので、助かります。
それ以前も鍋とかボウルとか「THE日常品」といった物が届いていました。
突如、HPにて優待廃止が告げられる。
平成28年3月22日に掲載されたPDFを見つけましたので、5か月ほど遅れてこの事実を知ったことになります。3月決算の企業が多い中、株主総会も落ち着いた7月頃に優待が届くことが多いのですが今年はジェコスから音沙汰がない。
「あれー、そういえば届いてないなー。忘れてんのかなー。」とのんきに考えていましたが、もはや届くはずもありませんでした。
優待廃止の理由と、タイミングについては以下の通り。
1.株主優待制度の廃止の理由
当社は、株主の皆様からの日頃のご支援にお応えし、当社株式への投資魅力を高めること等を 目的として、当社株式を 100 株以上保有されている株主様を対象に優待制度を実施してまいりま した。 この度、公平な利益還元の観点から、慎重に検討を重ねました結果、株主の皆様へ配当により積極 的に利益還元を行うことが、より適切であると判断し、株主優待制度については廃止させていただく ことといたしました。 今後も株主の皆様に対する利益還元を経営の重点課題と認識し、業績の向上に取り組んでまいりま すので、何卒ご理解を賜りますようお願い申しあげます。
2.株主優待制度の廃止時期
既に実施いたしました、平成 27 年 3 月 31 日現在の株主名簿に記載された株主様(当社株式 100 株 以上保有)への贈呈をもちまして、株主優待制度を廃止させていただきます。
http://www.gecoss.co.jp/investors/release/pdf/2016/20160322_01.pdf(ジェコスHPより引用)
まずここで出てきた「公平な利益還元の観点」について。
これは優待廃止を決定する際の所謂「決まり文句」となっていますよね。というのも2014年に株主優待を廃止した企業が全部で29社。その内、上場廃止というやむを得ない理由が16社。さらに残りの13社の内半数以上を占める7社が「公平な利益還元」を理由に優待を廃止しています。
そして、気になるのは次のフレーズです「配当により積極的に利益還元を行う。」これが本当ならば株主としては嬉しいポイント。
しかし、これ。本当に鵜呑みにしてもいい物なのか考えてみました。
今日はそんなお話。
優待にかかるコストを考えてみよう。
まずは企業側の株主優待にかかるコストを考えてみましょう。
前回は3,000円相当のヤカンでした。
株主数は、現在13244人ですから一人一人3,000円を配るとなると39,732,000円。
定価=仕入れ値という訳でもないでしょうから、とりあえず掛率を50%とでもしておきましょうか。金物ですからもっと安いことも十分考えられますがね。
という訳で、ヤカン代で19,866,000円。
さらに、個別配送料がかかりますので全国一律500円とするとさらに6,622,000円。
合計して26,488,000円。約2500万円程のコストがかかっていると思われます。
あくまで妄想の世界の話なので厳密な数値は出すことは出来ませんが、少なくとも数千万レベルのコストがかかっていることは間違いないと思われます。
さて、「優待廃止」という言葉の響きだけ見ると「この会社、経営状況ヤバいじゃないかな・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんのでここでジェコス株式会社の現状を見てみましょう。いつも大活躍会社四季報の登場です。
これを見れば一目瞭然なのですが、ジェコスの経営状況自体は全く問題ないと考えられます。2016年3月決算で約48億円の純利益を出していますし、一株当たりの利益も3桁超えていますので「がっぽり稼いでいる会社」とみなしてよいでしょう。先程、試算した数千万レベルの株主優待コストなんて48億の純利益から考えれば大した問題でもないでしょう。
むしろ2017年以降3円~5円の増配を予定しています。ジェコス株式会社の場合現在36,436,000株が世に出回っていますので、単純に考えても109,308,000円~182,180,000円のコスト増となります。な、なんと1億円のコスト増。
という訳で、廃止の原因はコスト面にあったという訳ではなさそうです。これを読み解くのに今度は株主側の立場で見ていかないといけません。
株主側から見るとどのように変化したのか。
3000円の日用品の代わりに、3~5円の配当増。
この変化の意味を考えてみましょう。
これまで100株持っていようが1万株持っていようが3000円の日用品をもらえていました。それが次のように変化します。※最低額の増配3円で試算。
100株の人はこれまでよりも還元内容が減っていますね。そして、1000株以上でこれまで以上の還元が得られるわけです。(現金と品物を単純に比べる事は出来ませんが。)
確かに今までの優待内容だと株を多く持っていようが少なく持っていようが同じ優待でした。これはジェコスの掲げる「公平な利益還元」とは言えませんね。いや広い意味では平等なんですが資本主義っぽくないのでNGなのです。
これらの事から推測するに、ジェコス株式会社の無言のメッセージはこうです。
「最小単元しか持っていなく、すぐ売買するような株主はこれ以上いらない。大きく安定的な株主が欲しい。」
優待目的で100株だけ持っていた株主は、今後どうするか考えなければなりません。
まとめ:優待ブームの行く先は。
株主優待ブームにより、今まで株に触れてこなかった層が株取引を始めるケースがかなり増えました。本屋に行けば優待特集の本がズラリ。テレビでも取り上げられていましたね。
企業側もこのブームに乗り株主を増やそうと様々な手法を取り入れて、より魅力的な株であることをアピールすることに注力していました。現に2015年4月末時点で過去最高数の1234社が株主優待を導入するに至っています。(野村インベスターリレーションズ発行 2015SUMMER アイアールmagazineより引用。)
さらに日経平均株価の上昇も相まって、確かに株主数は増えました。しかし、その一方で企業側から見ると困ったことも増えました。
- 一つは、優待権利確定前に買って、確定後に即売る株主が増えた。
- 一つは、株主が増えすぎて管理や問合せに対するコスト面・労働面が大変になった。
- 一つは、少数の株式数しか保有していないのに、文句は大株主並の人がいる。
と、まぁこれらは容易に推測できます。
企業としては日頃売買が全くされなくなるのも困りますが、最終的に渡って会社を応援してくれる長期安定株主を増やしたいもの。これらの流れを見ていくと今後株主優待はこれまでの過熱時期を過ぎ、徐々に落ち着いてくると思われます。
そして、株主数が上場維持条件を大きくクリアしている企業などでは、株主優待の貰える条件のハードル上げや株主優待廃止等を含め株主数の整理をするケースが増えると考えられます。ここでのハードルは主に「保有株数への条件」「保有年数への条件」がメインとなって行くでしょう。
実際に、2014年<2875>東洋水産株式会社がこれまで全ての株主を対象に優待を配っていたものを「1年以上の継続保有」という条件変更をしましたし、<6301>コマツは初回から「300株以上保有かつ3年以上保有」という条件のもと優待を導入しました。
これまで株主優待目的だけでなんとなく株の売買をしていた方々は早めに次の売買基準を勉強するなり、経験するなりして掴んでおくことをお勧めします。さかのぼること数年前、メディアを駆使し優待を餌に初心者を株取引へと誘ってきた証券会社は何もしてくれませんから。
それではキノでした。
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