こんにちは、arto総研のToshiroです。いつもお読みいただきありがとうございます。今回はルネサンス美術について紹介します。
初期ルネサンス
「ルネサンス」は、よく「再生」や「復活」と訳されます。では芸術は一体何から復活したのでしょうか。一言で言うならば、古典の復活です。
ルネサンス以前はゴシック美術という様式が主流だったのですが、ゴシック美術では人生は苦である、というような解釈が中心で、どちらかと言えば、現世よりも死後の世界に重きを置いていました。
ルネサンス美術では死後ではなく現世を重要視します。現世の人間に可能性を求めたのでした。そのため人間的な表現を重視すると共に、古典ギリシアや古典ローマの美術をお手本にし、人間的な肉体表現や感情表現を追求していきます。
ルネサンス的考えが出始めた頃、つまり初期のルネサンスにおいては、マサッチオ、フラ・アンジェリコ、ボッティチェリが特に有名です。
マサッチオ『聖三位一体』
こちらはマサッチオの作品です。指摘すべき点は多いのですが、特に注目すべき点は遠近図法でしょう。ルネサンス以前の作品は平面的なものだったのですが、本作では奥行きが生まれています。ルネサンスにおいては建築でも大変革が起きたのですが、その影響が絵画にももたらされています。また、イエスの肉体表現はかなり現実っぽく見えますが、「人間的、自然的表現」のいい例です。
ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』
こちらは言わずと知れた『ヴィーナスの誕生』です。ボッティチェリの作品です。ルネサンス以前の作品は聖書に関するものがほとんどだったのですが、この時代には聖書に関係のない神話を題材にした作品も描かれるようになりました。
盛期ルネサンス
ルネサンスが起きてからしばらくすると、有名な3人の巨匠が誕生します。その3人とは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロです。この三大巨匠が活躍した時代を盛期ルネサンスといいます。
レオナルド『モナ・リザ』
最も有名な絵画『モナ・リザ』です。『モナ・リザ』のすごいところはスフマート技法というぼかし表現にあります。顔を拡大して頂くと分かりやすいと思いますが、ほとんど輪郭線がありません。レオナルドは「ものに輪郭線は存在しない」という言葉を残しているほどなのですが、このぼかし技法が高い写実性を可能にしました。
ミケランジェロ『ピエタ』
(引用:Wikimedia Commons、Juan M Romero)
ミケランジェロは絵画で有名ですが、本業は彫刻家です。本作では非常に感情的な表現が行われています。また、この素晴らしい肉体表現はヘレニズム、つまり古代ギリシアから影響を受けています。
ラファエロ『アテネの学堂』
こちらはラファエロ。絵画というと「レオナルドが一番偉い、すごい」というような風潮があるのですが(実際すごいんですけれど)、実は美術史においてはラファエロの方が「偉い」のです。19世紀にラファエル前派というグループが誕生するのですが、それまでの間、ラファエロの様式が美術の基礎となっていました。
マニエリスム(後期ルネサンス)
マニエリスムの発生については様々な評価があるのですが、ここでは良い評価に基づいて紹介しようと思います。
ルネサンスが後半になってくると、ルネサンスにおいて重要視していた自然の再現を超えて、より高度な、より知的なものを目指そう、という考え方が生まれてきます(諸説あり)。
そのため、一般には理解出来ないような、知識人や学者にしかわからないような作品が描かれることになります。代表的なのはブロンズィーノの作品です。
ブロンズィーノ『愛の勝利の寓意』
この作品は非常に難解で、今でもよくわかっていないところがあります。ざっと解説すると、中央の女性がヴィーナスで口づけを交わしているのが息子のアモール(キューピットのこと)。アモールの後ろにいる頭を抱えた女性は嫉妬を表します。ヴィーナスの足元にある仮面は欺瞞の象徴。ヴィーナスの右にいる子どもは快楽を表し、その後ろにいる無表情の少女は下半身が蛇になっていることから欺瞞、その上の腕を伸ばしているおじさんは時間の象徴で、その腕の先にいる変な顔の女性は本来は真理を表しますが仮面を付けているので欺瞞を示しています。
マニエリスムで有名な画家としてエル・グレコがいます。エル・グレコはブロンズィーノとは違い、激しい感情表現を全面に出しています。
エル・グレコ『キリストの磔刑と2人の寄進者』
マニエリスムの特徴として、体の一部を極端に引き伸ばしたり、変形させて描くことがあります。エル・グレコの本作はその典型的な例で、体が延ばされており、またぐにゃっと曲がっています。こうすることによって激しい感情表現を試みたのでした。
簡単にルネサンス期の流れを紹介してみました。実際にはルネサンスはもっと色々なものがあるのですが、わかりやすさのためにガッツリはしょりました。めちゃくちゃはしょりました。詳細が気になる方はぜひ調べてみて頂きたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。
Toshiroでした。それでは、また。
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