東京都知事選に出馬した上杉隆氏(48)が9日、都内で日刊スポーツの取材に応じ、東京MXテレビから生放送番組「週刊リテラシー」(土曜午後5時)の出演契約終了通知書を送られた件について激白した。同氏は、通知書には都知事選が契約終了の要因とされていたことを明かした。一方で、都知事選公示前に選挙に関与する可能性を伝えた際、番組プロデューサーが都知事選への出馬を望み、特番などの制作を持ち掛けながら選挙戦期間中の7月18日に突然、口答で降板を伝えてきたと明かした。

 上杉氏によると、6月30日に番組プロデューサーに会い「選対に内々に入って(候補者の)応援をするかも知れない」と、都知事選に関与する可能性を説明した。当時は出馬まで話は進んでいなかったが、同プロデューサーから「都知事選に出てほしい。当選すれば、ありがたい。例え惨敗しても、選挙後に敗戦記などの形で(取材内容は)使える、選挙後に特番を流す」などと、出馬を後押しする発言があったという。

 その後、上杉氏は自ら都知事選に出馬することを決断。その上で、6月30日の打ち合わせでのプロデューサーの意向を受けて、選対内部の一部の関係者にしか回さない共有のメーリングリストに番組サイドも加え、7月12日の都知事選出馬会見をはじめとした選挙戦の帯同取材を許可したという。にもかかわらず、選挙期間中の7月18日にプロデューサーから連絡があり、打ち合わせの席上で、いきなり「降板です」と言われたという

 降板の理由を聞いても、プロデューサーは「とにかく上から言われた」としか答えないため、文書での回答を求めた。同プロデューサーは「編成局から文書を送ります」と言ったが、それ以降、何度問い合わせても全く連絡がなかった。一方で選挙戦終盤の7月28日には、番組名で陣中見舞いとしてソフトドリンク10箱が選挙事務所に送られてきた。そして選挙戦後の5日に、東京MXテレビの代理人弁護士から契約終了通知書が送られてきたという。

 契約終了通知書には、都知事選への出馬が出演契約書に規定された契約違反の条項にあたるとしている。番組制作関係者によると、上杉氏と同局が結んだ出演契約書には、契約違反の条項として(1)東京MXテレビの営業上の信用を損なったり社会的信用を失墜させる行為(2)契約違反した場合や、契約の履行に支障をきたす行為を行った時、などと規定されているという。

 上杉氏は「相手(東京MXテレビ)が営業上、やってくれと出馬を求めたのですから、営業上の信用は損なっていない。(東京MXテレビの主要株主である)東京都の知事選に出馬したことが、相手方の社会的信用を失墜させているとは思えない。どこが契約違反か分からない」と困惑した。

 その上で「契約書に選挙に出たら契約終了などという条項はないし、都知事選に立候補しただけで降板なら、憲法が認める選挙権を否定する、憲法違反と言っても過言ではないでしょう」と憤った。さらに「僕は犯罪も犯していないし、都知事選では選挙違反もしていない。今後、選挙戦で違反をしなかったことを証明するため、選挙資金を公開しようと思っています」と、降板事由に当たるようなことは何もしていないと強調した。

 上杉氏は、14年の都知事選に細川護熙元首相が出馬した際、選対本部の広報責任者に就任した。その際も同局の番組に出演していたが、その際は「選対に入りますから(番組出演を)休みます」と言い、調整してもらったという。「今回も同じように事前に話をした。契約違反には当たらない」とした。今後について、同氏は「弁護士を通じ、東京MXに何らかの措置をすると思います」と語った。

 一方、東京MXテレビは、日刊スポーツの取材に「担当者が会議などで席を外しており、対応できません」などと回答した。

 「週刊リテラシー」は、上杉氏とロンドンブーツ1号2号の田村淳がMCを務め、14年4月から「淳と隆の週刊リテラシー」として放送をスタート。世論調査や新聞各紙の1面について議論したり、ニュースの現場を取材するなどする生放送の情報番組。上杉氏が代表取締役を務める会社「NO BORDER」が、キャスティングなど番組制作に協力していた。上杉氏が出演しなかった7月16日放送回に代役として出演した古賀茂明氏、出演を拒否した6日放送回に代役として出演した古賀氏とケント・ギルバート氏も、「NO BORDER」がキャスティングしたという。