連続テレビ小説 とと姉ちゃん(110)「鞠子、平塚らいてうに会う」 2016.08.09


(鞠子)平塚らいてう先生にお願いするのはいかがでしょうか。
誰もが知っている有名作家ですし何より平塚らいてうの言葉を待っている女性はたくさんいると思うんです。
(花山)確かに平塚らいてうの原稿を掲載できたら光栄な事だな。
(常子)ええ。
常子さん。
早速君が担当としてやってくれ。
いや…。
鞠子に任せたいです。
担当はその作家さんの事を一番よく知る人物がなるべきだと思います。
鞠子は誰よりも平塚先生の作品をよく読み感銘を受け自分でも先生に関する随筆などを書いてきました。
うちで一番担当にふさわしいのは鞠子以外考えられません。
うん…分かった。
だがそう簡単に事は進まんぞ。
うわさによれば平塚先生は信頼している編集者としか仕事をしないらしい。
(島倉)それって…。
(扇田)今回みたいな急な依頼なんて…。
(花山)恐らく受けてはくれんだろう。
(水田)え〜…。
編集者のもとに足を運び熱意を見せてようやく話を聞いてくれるかどうか。
…だろうな。
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」
(若松)何度も言ってるように原稿の依頼なら今は無理だよ。
お願いします若松さん。
私どもは今までとても平塚先生のお言葉に力づけられてきました。
ですから今回は是非うちの雑誌の読者にも平塚先生のお言葉で力を与えて頂けないかと。
電話でも言っただろう。
新規の依頼は受けてないんだ。
今持っている依頼だけで先生は手いっぱいなんだ。
では平塚先生のお住まいを教えて頂けませんか?直接お願いに上がります。
何を言ってるんだ君は!仕事の依頼は私に一任されてるんだよ!…ったく。
(扇田)ただいま。
(一同)お帰りなさい。
暑い暑い…。
(緑)鞠子さんまだ戻りませんね。
(美子)まだ会えてないのかなあ…。
水田さん。
鞠ちゃんなら大丈夫ですよ。
あ…はい。
はい。
若松さん!君…まだいたのか。
もう一度お話を聞いて下さい。
話しても無駄だよ。
受けられないんだから。
いやあの…。

それからも連日鞠子は若松のもとを訪ねました
これだけでも平塚先生に…。
もう勘弁してくれよ。

(若松)この雨の中ずっと待ってたのか。
お願いします!お話だけでもさせて頂けませんか?どうしても平塚先生に執筆をお願いしたいんです。
話だけは通しておく。
それでいいだろう?本当ですか?こっちへ上がんなさい。
受けるかどうかは先生次第だ。
俺はこういう話があったと伝えるだけだ。
分かりました。
では平塚先生にこれをお渡し願えますか?分かったよ。
ありがとうございます!タオルと傘を貸そう。
編集部まで来なさい。
ありがとうございます。
そうか。
担当者が折れたか!はい。
平塚先生からのお返事がないとまだ何とも言えませんが。
だがまずは大きな第一歩だ。
ご苦労さま。
えっ?何だ?何を驚いてる?花山さんが珍しくねぎらって下さるから…。
うわさを聞く限り偏屈な編集者らしい。
相当骨が折れたろう。
苦労はしましたけどとと姉が花山さんに編集長をお願いした時の話と比べれば…。
鞠子さん。
君は今私の事を偏屈だと暗に言っているのかな?いえ。
そんな事一度も思った事ありません。
本当か!?・はいあなたの暮し出版です。
はい。
はい分かりました。
すぐ伺わせて頂きます。
はい…はいありがとうございます。
鞠ちゃん。
はい。
今すぐ出られる?大丈夫だけど…。
もしかして…。
平塚先生が会って下さるって。
(水田)えっ。
本当!?
(緑)すごいじゃないですか。
(扇田)鞠子さんが粘ったかいがありましたね!
(島倉)うちの雑誌に平塚らいてうが載るのか…。
それはちょっとまだ分からないんです。
担当の方いわく直接会って依頼の詳細を聞きたいって…。
じゃあ平塚先生が原稿を書いて下さるかどうかはこれからの交渉次第?ええ。
ご安心下さい皆さん。
必ず平塚先生を説得してまいります。
(緑)頑張って。
お願いしますよ。
頼もしい!よし…。
ありがとう。
はい。
行ってまいります。
(一同)行ってらっしゃい!
(蝉の声)あの…。
こちらは…。
はい。
平塚先生…でいらっしゃいますね…?そうですが。
あ…すみませんあの私は…。
もしかしてあなたの暮し出版の?はい…小橋鞠子と申します。
本日は先生に執筆のお願いに伺いました。
まあまあこんなとこではなんですからどうぞお上がりになって。
はい。
私先生に私淑し自分も作家になりたいと大学にも進学して出版の世界に入りました。
まあそうでしたの…。
ですから今回私たちの作っている雑誌に寄稿して頂ける事になればどれだけ光栄な事か…。
ただ個人的な思いで執筆をお願いしているのではありません。
私が「青鞜」を読んで感銘を受けたように先生が語りかけて下さるひと言ひと言を私たちの読者の方々にも届けたいと思っております。
どうか私たちの雑誌に寄稿して頂けないでしょうか?お願い致します!執筆致しますよ。
「あなたの暮し」を以前から読ませてもらっていてね私の方こそ是非寄稿させて頂きたいと思ったの。
若松さんにはそうお伝えしたはずなんだけど…。
あの方人の話をちゃんと聞かないから。
そうだったのですか…。
それで題材はどんなものがいいかしら?「元始女性は実に太陽であった」。
私はあの文を読んで身が震えるほどの感動を覚えました。
「女性は本来太陽のように自らの力で生き自ら輝きを放っていた。
それが今はどうだ」と力強く叱咤され励まされました。
私よりももっと若い読者に私が味わったような感動を覚えてもらいたいです。
戦後の今の時世だからこそ女性が堂々と社会進出を果たせるような勇気を持てるようなお言葉を執筆して頂けないでしょうか?それはどうかしら。
そんな文章はあなた方の雑誌にはふさわしくないのではなくって?私が読者ならこの雑誌にそんな言葉は求めないわ。
明日の暮らしがよくなる知恵や考えが欲しいもの。
私がずっと書きたいと思っていた事があるのだけど…。
はい。
夏に食べたくなるお汁粉の作り方とそれにまつわる随筆はどうかしら。
お汁粉…?母がもともと得意でね私も教えてもらったの。
うちの子もみんな好きで先人の知恵が詰まったお汁粉なのよ。
いかが?納得してないようね。
失礼を承知で申し上げます。
平塚先生が執筆して下さるのがお汁粉の作り方と随筆だなんて…。
もう少し前ならあなたの提案に乗っていたでしょうね。
でも…戦争が終わった今は違うわ。
私にも娘と息子ができて育てなければならなかった。
戦時中は息子を戦地に行かせたくないという思いでいっぱいだった。
それからようやく戦争が終わって必死に生き延びねばならない時代が続いたでしょう?戦争があった事で私も大きく変わったの。
女性の問題も大切だけれど何よりも平和が一番。
甘いお汁粉で幸せになれるような平和な日常があってこそ女性が権利を主張できるのではないかしら。
私もね考えが変わったの。
考えが…変わった…。
そう。
考えは変わるものなのよ。
そうじゃなきゃ生きていけないわ。
それにそれってとてもよい事なのよ。
らいてうの言葉は鞠子の心に大きく響きました
2016/08/09(火) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん(110)「鞠子、平塚らいてうに会う」[解][字][デ]

平塚らいてう(真野響子)の担当編集者の元に何度も足を運び、交渉を続ける鞠子(相楽樹)。しかし、やっと会えたらいてうが提案してきた原稿の内容は意外なものだった…。

詳細情報
番組内容
予定していた原稿に突然穴があき、騒然とする編集部。鞠子(相楽樹)は、平塚らいてう(真野響子)に原稿を依頼してはと提案する。信頼している編集者としか仕事をしないというらいてう。鞠子は門前払いを受けるも、担当編集者の元に何度も足を運び交渉を続け、やっと会うことができたらいてうに『青鞜』で自分が感動した様な女性に向けての言葉を寄稿してほしいと依頼する。しかしらいてうが提案してきたのは意外な内容だった…。
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,モロ師岡,伊藤淳史,真野響子,唐沢寿明,【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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