人は、あいまいな記憶だけを頼りに、どれだけ似顔絵を似せられるのか。
「見ないで似顔絵描いてみよう大会 in 自室でひとり」、通称「見ず描き」である。
このたび読者の方からいただいたお題は「ディーン・フジオカ」
はあ……。でたよ、イケメン。
個人的には、彼は「2015-2016 イケメン・オブ・ザ・イヤー」である。ルックスだけでなく、内面も清いイメージ。
ディーン・フジオカ(1980年8月19日 - )
本名、藤岡 竜雄(ふじおか たつお)、モデル、俳優、映画監督。
千葉の高校を卒業後、シアトルに留学、その後アジア各地を巡る。5カ国語(日本語、英語、中国語、広東語、インドネシア語)を操るマルチリンガル。
香港のクラブで、飛び入りでラップを披露していたところスカウトされ、モデルに。
役者としては台湾をメインに活動し、ドラマや映画に出演。2015年には、NHKの『あさが来た』で「五代様」として人気を博す。
ひえっ……。
非の打ちどころのないイケメンのイメージだったが、本当にパーフェクトなイケメンだった。王子様かよ。
なんかテンションが下がるな、欠点はないのか。足がすっごい臭くて、モデルなのに、靴のブランドからは装着NGを出されてるとか。
さあ、ディーン・フジオカを、イシオカが描きますよ。私も今回は、「石岡ショウエイ」ではなく、「ショーン・イシオカ」を名乗ろう。
【第8回 見ないで似顔絵大会】お題:ディーン・フジオカ
【1】まずはシルエット。
整った面長に、モデルらしい、しっかりとした肩幅。
そういや『鋼の錬金術師』の実写版映画で、焔の錬金術師「ロイ・マスタング」をディーン・フジオカが演じるそうで。
ふっ、それなりに似合ってる、といっておこうか。(上から目線)
【2】ファッションは、朝ドラのイメージのせいか、フォーマルなスリーピース。
モデルのように完璧に着こなしている。あ、モデルか。ちくしょう。
おお。すでにイケメンオーラがでてますな。企業のホームページに、若きCEOの近影として載ってそうな感じ。
ディーン・フジオカには、「キムタク」のような略称はないんだろうか。かってにつけるぞ。きょうから君は、「ディジオカ」だ。
【3】イケメン、イケジョの困るところは、整った顔立ちは、つまり特徴がないということであり、「強調」が命の似顔絵には、あまり適していないということである。
いったん、顔の具材を、ごく普通のものとして配置しておこう。
似てると感じられる要素はない。
ということは、逆に考えれば、ディジオカにも強調できる特徴があるということか?
探していかねば。
【4】髪をのっける。清潔感のある、青年らしい髪型。
なんとなく『逆転裁判』にいそうな雰囲気。今風の髪型なのに、スーツをシックにきめてるからかな。
ディジオカは弁護士や検事の役も似合いそう。
「異議あり! ショーン・イシオカ氏の似顔絵、まったく似てません!」
ちくしょう……。ちくしょーん・イシオカ。
【5】頭に浮かぶディーン・フジオカは、つねに笑みを浮かべている。
笑わせてみようか。
むう。
腹話術の人形のような、ぎこちない、違和感のある笑いになった。
けど、悪くないかも。さわやかすぎて違和感すらおぼえる、というのは、ディーン・フジオカからも発せられている空気では?
あのさわやかさは、仮面なんだ。
本当のディーンは、「うけけけけ♪」と笑う。
「裁判官の弱みを見つけたぞ、うけけけけ♪ 女子高生とつきあってるらしいじゃないか、うけけ……、ちっ、うらやましいな」
【6】仮面とはいえ、表面上のさわやかさは、いくら盛っても足りない。
あれを持たせてみようか。
レモンで、『ザ・テレビジョン』の表紙風に。
「連続ドラマ『仮面の検事フジオカ』テレ朝にてまもなくスタート、見てね!」
ショーン・イシオカも、法廷画家の役で出演予定。じつは犯人だよ♪
【7】黒目を入れてみる。
あー、まったく似てないわ。ただのさわやかぶった兄ちゃんや。
眉毛の、やや太めで水平な感じ、は間違ってない気がする。あとはぜんぜんだ。
ディーンがディーンであるためには、なにが必要なんだろ。
ディーン、ディーンいってると、DEENが聴きたくなってきた。
このま~ま、君だけ~を、奪い~去りたい~♪
【8】目がおだやかで澄んでる印象がある。黒目を大きくすればいいんかな。
うん、間違ってはいないな。眉と目はディシオカに近づいている。
それにしてもイケメンは、描いてて疲れやすい。わずかな特徴をルーペで探すような作業だからか。
はあ、気分転換におっさんでも描きたい気分だ。
おっさん! おっさん! おっさん!
「お呼びか?」
「藤岡弘、」いや「ヒロシ・フジオカ」。
おなじフジオカでも対極だな。
ディーンは「夏の冷房」、ヒロシは「夏なのに暖房」。
うん、リラックスできた。
サンキュー、本多忠勝、家康の護衛に戻ってくれたまえ。
*
【9】ここまでを下絵として、本線を入れていく。
髪型が違うんかな。短めのツーブロックにしてみる。
これではないようだ。小栗旬みたい。
それにしてもイケメンって、女の立場で考えると、カノジョになれたらうれしいだろうが、いつか去っていくんじゃないかと、つねに不安なんじゃなかろうか。
今年はふしだらな男が大流行だし、インドネシア国籍の妻がいるというディーン・フジオカも、きっと不倫してるな。
奥さん、大変ですよ、彼は五カ国語を話せるだけあって、五カ国に現地妻がいます。
日本の現地妻は、『ダメな私に恋してください』で共演した深田恭子です。妻気取りで、「キョーン・フジオカ」とかいってますよ。
【10】髪型を今風に戻し、眉と目の輪郭線を配置。
眉がちょっと強い気もするが、キープ。
「キョーン、ぼくたちは別れたほうがいい。最近、週刊文春の気配がするんだ。スクープされたら大変だ」
「いやよ、ディーン。絶対別れない!」
【11】大きめの黒目に、ちょっと、しらじらしくもある笑顔を。
うーん、男前だけど、阿部寛の弟っぽくない? 弟、いるのか知らんけど。
【12】ディーン・フジオカのほほ笑みは、魅惑的に、やさしい。
目の輪郭をチェンジ。大人っぽさが足りないので、配置もやや高く。
うーん、若かりしころの、阿部寛の兄っぽくない? 兄、いるのか知らんけど。
あと、なんかエロい。いや五人の現地妻がいるから、エロいんだけど、エロすぎる。
「キョーン、別れるのはやめにしたよ。君のバディ、手放すことができそうにない」
「もう、ディーンったら♪」
なにを書いてるんだショーン(私)は……。
【13】目をもっと澄んだ感じに。
アンダーラインを調整してエロさは軽減。
バード! これ、フリーアナウンサーの羽鳥慎一だ!
「『深イイ話』の出演、キャンセルしてきたよ。きょうは『深イイ話』より、深キョンと、深イイ関係になりたんだ……」
「まあ、うまいこといっちゃって♪ でも、こんなところに来ていいの? 文春の記者がいるかもしれないわよ」
「大丈夫。ショーン・イシオカっていう、ひまを持てあましている法廷画家に見張りをさせてるから」
【14】隙というか、少年ぽさがほしいなあ。
眉の位置を上げて、すこし間の抜けた要素を加えてみる。
悪くない、悪くないよ。
でも……、不倫はよくないよ!
パシャパシャパシャ!
突然のカメラのフラッシュ。うろたえるディーン。
「き、君は、ショーン・イシオカ! いったいどういうことだ?」
「ふっふっふっ、なにを隠そう、ぼく自身が、文春の記者なんですよ」
「な、なんだって!?」
「検事のわりに、察しが悪いですねえ。ぼくは法廷画家ですよ? 法廷画家に仕事を発注するのは、マスコミ。
つまり、ぼくが文春とつながっているということは、かんたんに推測できる話ですよ」
「くっ……」
【15】歯を見せて笑うのは違うのかも。静かな笑みに変更。
髪型も若すぎる。オシャレ七三にして、大人らしく。
い、イケメン! なんちゅう色気!
なんてこった。自分で描いた絵でありながら、ほれてしまいそうだ……。
私、そっちの気があるのか?
「ショーン・イシオカ、最後にこれだけは教えてくれ。なぜぼくを裏切った」
「深キョンと、深イイ関係になってるのが、許せなかったんだ……」
「もしかして、君もキョーンのことを?」
「違う! ぼくが愛してしまったのは……」
「……!」
このま~ま、君だけ~を、奪い~去りたい~♪(テーマ曲)
【16】眉を弓なりにして、おちゃめな要素を足す。
目はもう少し大きくして、過剰な色気を排除。
いいね、方向性は一致してる気がするぞ。
これが限界かなあ。
なんか堺雅人っぽくも見える。『逆転裁判』じゃなくて『リーガル・ハイ』ってことか?
線画はここまで!
【17】カラーリング
うん、こんな感じで結審とさせていただきまよう。
『ハンターハンター』のパリストンっぽさがあるな。なんか企んでそう。
「ショーン・イシオカ、ぼくに勝ったつもりでいるなら、大間違いだ」
「なにっ? ま、まさかすべて、計算済みだったとでもいうのか」
「そうさ、君がぼくに堕ちるということも、含めてね」
『仮面の検事フジオカ』次回、怒濤の最終回!
自己採点、71点。
正解を用意します。
あ、いつもの悪いくせが……。
むう……。
【正解】またしても、正解があまり似ない、という珍現象を起こしてしまった。
まあ、及第点はあるだろう。佐藤健といわれても否定できないが。
【比較】
遠からず。実物は意外と眉が男臭い。目をいじりすぎたかな。
『ディーン・フジオカの描き方』ポイントまとめ
- 目は黒目を大きく、やや下げる
- 眉は濃いめの三角形、水平ぎみ
- ほほ笑んでいたほうが、彼っぽい
このへんを押さえれば、ディーン・フジオカさん、ご登場!
――となるかもね。
*
今後のお題をゆるく募集しております。
過去の開催模様はこちら。
- 第1回 マツコ・デラックス編
- 第2回 奥田民生編
- 第3回 リリー・フランキー×吉田鋼太郎編
- 第4回 星野源
- 第5回 鈴木福
- 第6回 水原希子
- 第7回 岡崎体育
- 最新一覧はこちら
似顔絵サービスやってます。似顔絵メーカーといったアプリとはことなる作風をお楽しみください。
記事終わりの4コマ漫画×2
『まぐねっこ』(by 五郎)
・その29
サブリミナル? コロコロコミックが読みたくなってきた。
『デジモン』を描いてた、やぶのてんや先生が、『ポケモン』の連載を始めるんだよ。
『イナズマイレブンGO』を描いてた、やぶのてんや先生が、『ポケモンGO』で盛り上がってる、『ポケモン』を描くんだよ。
『ペットボトルくん』(by ショウエイ)
・その61
アイスボックスが食べたいです。