みなさんこんにちは。
まちゃひこのニセ科学の時間です。
先日ポジ熊さんのこんな記事を読んだのです。
まぁ、ブログには継続が大事!っていう話はほんとうにたくさんのひとがいってるというのもあるけれど、「ブログを続ける=継続的に更新する」というならば、その価値が時間と共に高まるというのは至極当然の話ですね。
気になったのは「ロングテールの法則」っていうをつかって、記事数の多さの重要性を説明していたところです。
ぼく自身、これはあながちまちがいでもないとはおもっているものの、いかんせんぼく自身が営業職をやっていたときに「顧客を言いくるめるため」につかっていたバズワードなので、個人的にマユツバモノだという認識がどうも強いのが本音です。そういえば、カリスマプロブロガーのイケダハヤトさんもおんなじこといってましたね(棒読み)
というわけで、ぼくもひとつホラでも吹いてみようかとおもいます。
ロングテールがブログ論なるものに使えるならば、「グーテンベルグ・リヒター則」(いわゆるべき乗則)をもとにしても考えていいはず。
べき乗則を知らないお友だちはとりあえずwikipediaでも見るか、この本を読んでみるといいでしょう↓
歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: マーク・ブキャナン,Mark Buchanan,水谷淳
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それではまず、ぼくの営業時代のワンシーンをふりかえりながら、話をはじめていきますね。
求人広告の営業をやっていたとき
まずは与太話から。
ぼくの前職は求人広告の企画提案だったのですが、求人倍率が1.0を超えたとかいう時代だったもので、まぁそれはそれは効果は悪い。あの手この手でやってみてもお客さんにブチ切れされるとか日常茶飯だったわけです。
そこでぼくは統計的にみたときの「採用力」っていったいなんだろうって、ずっと考えてました。
採用力っていうのはいうまでもなく複雑な要素が絡み合った漠然としたものです。
たとえばいかに「求人の露出を増やすか」、「職種の人気度」、「業界」、「会社の強み持っているか」、「その強みを効果的に打ち出せているか」……などなど、たくさんあるわけです。
なので、漠然とした「採用力」をざっくりとらえるには、こういう複雑な要素をざっくり丸め込んだ「ざっくりした指標」が必要になってくるのです。
そこでぼくが目をつけたのが、グーテンベルグ・リヒター則というやつです。
これは「地震の規模を横軸に、その地震の発生回数を縦軸にとって片対数プロットすると直線になる」というものなんですけど、複雑系の分野ではこの傾向が多数みられているんですよね。(こればっかりいう団体のことをぼくは「べき乗教」と呼んでます)
片対数プロット↓
フツーにプロットしたとき↓
さて、これを求人市場に置き換えたとき、縦軸と横軸はどうとるのかが肝心になります。
ぼくは、縦軸を「求人応募数(※採用数が一番いいけれど、実際問題こっちのほうがデータをとりやすかった)」、横軸を「求人にかけた金額」として考えてみたんです。
じゃあどうなったかっていえば、自分が把握している顧客だけだとそんな統計的に信頼性が得られるような数を集められなかったで、結果はわけわからんノイズまみれになりました。まぁ当然です。しかし、感覚的にはこんな形になりそうな気配がありました↓
はい、御存じ「pH曲線」です。
たしかに営業をしていて、「ある一定のコストをキッチリ割いている会社が採用成功している」という傾向はたしかに見られました。そして中途半端にケチった求人をやっている会社ほど、ぜんぜん採用できていなかったんですよね。
あと気になったのが「上限があること」です。これはあたりまえっちゃあたりまえなのですが、求職者って有限ですしね。それに、昨今では求職者よりも仕事の方が多いので、めちゃくちゃコストを割いて求人募集かけたところでマーケットが飽和している。わりと早いうちに頭打ちになっちゃうんですよね。だからpH曲線みたいになった説がここで立ち上がります。
まぁこの話をすれば、大手企業の採用担当者ほどコロッとだませたり(!?)しました。
会社の上司にも、
「求人マーケットの見通しをよくするためにも、メーカーにこのデーターをとってもらいましょうよ」
と相談したことはあるんですけど、まぁ、めちゃくちゃ時間と労力がかかるわけです。
「それとってなんになるの?」
「求人市場が明瞭に見えるようになるかもしれません」
「金になんの?」
「営業マン次第ですね…」
という会話で即却下になりました。
まぁ、でしょうねって感じです。ぼくの知的好奇心でしかない提案なので。
ブログのアクセスとどう関係があるのか?
このエントリーを読んでくださっている方々は主に「ブログのアクセス」に興味があるわけで、ぼくのデビットカパーフィールド的なしょうもないあれこれなんてまったく興味がないわけです。というわけで本題に入ります。
この話では、いうまでもなく「縦軸をブログのアクセス数」とします。
では横軸にあたるものってなんでしょうか?当然ですが、はてなブログPro代とかサーバー代とか、そういうものではないですね。
ここでぼくは「運営コスト」という超漠然としたわけのわからない指標をつくってみます。そしてそれを横軸に置いてみます。
これはなにかっていうと、「ブログの記事数」や「記事の質」、「ドメインパワー」とかもろもろを丸め込んだ仮想的な数字です。ざっくりしたものを俯瞰的にとらえるときの鉄則はざっくりした指標を持ってくるという基本にならってそうしているわけですので、この段階では細部のあれこれとか、「トレンドがー」とかそういうものは全部無視します。それらすべてはこの「運営コスト」なるものに含まれています。詳細な話にトラップされて話が進まなくなるのをまずは防ぎます。
この指標を採用すると「ブログは継続が大事!」というのがわかりやすくなりますね。
記事数とドメインパワーはいうまでもなく更新回数が多いほど高いコストを割くし、記事の質やトレンドはそこに+αされるものだと考えればいいわけです。量と質をバラバラに考えるとなにもわからなくなっちゃうんで、あえてごちゃまぜにしてしまうってかんじ。
で、ここからいざそのグラフをお見せできれば一番いいのですが、そんなクソ面倒で手間がかかるこの作業は頼まれたってやりたくないです。
そんな時間があれば、ぼくはロベルト・ボラーニョの渾身の一作「2666」を5回くらい読みたいところです。
- 作者: ロベルトボラーニョ,野谷文昭,内田兆史,久野量一
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というわけで、ここからはぼくの推測です。
この「ブログアクセス数v.s.運営コスト」もたぶんpH曲線みたいになるような気がします。
引用(再掲):中和滴定曲線 - Wikipedia
このモデルのイメージは、最初は記事数に比例して固定読者がついたりアクセスが増えたりしていき、ある時期をきっかけに爆発的にアクセスが増えるみたいなかんじです。
じっさい、どこかで読んだアクセス報告記事で「10万PV超えたあたりから急成長した!」みたいなものを読んだのですが、その記事を探しなおすのも億劫なので、気になったひとは探してください。(そして見つけたひとは教えてください)
どうやら、はてなブログを徘徊している限りでは「10万~15万PV」に臨界点があるようです。
そしてやがてターゲットが飽和してアクセス数が収束していくみたいなかんじですね。
なぜ臨界点があるのか?
まぁこれも推測なのですが、これは読者という集団の振る舞い方が変わるから、みたいな感じだとぼくはおもっています。
これについては物質の相変化(気体、液体、固体)をおもい浮かべてみるとわかりやすいとおもうよ!
グラフ左部の運営コストが低い段階(=読者が少ない段階)では、読者ひとりひとりがそれぞれに関係性をもたず、独立した運動をしているみたいに振る舞います。あるブログを読んでも、それを誰かに紹介する(ブックマークやTwitterのリツイート)ひともほとんどいないし、また読んだらおしまいでサッとどこかいいってしまう。いわば「気体分子」みたいな動きをするわけです。
しかし、ある程度の読者が集まればそれらはクラスターを形成し始めるわけです。ブログの定期読者が増え、ブックマークやリツイートも増えるとフォロワーも増える。そしてある同一の嗜好を持ったひとたちががんばってくれる、というフェーズに相変化します。これがpH曲線の中央部の段階です。
それでなんで爆発的にふえるかっていうのは、リツイートのリツイートとかの2次拡散にもなれば指数関数的にアクセスは増えるし、なによりも大きいのは、ブログ読者に「アンチ」が発生することでしょう。
あるひとつのクラスターの発生が、別のクラスターの発生を促すわけです。
というわけで、この話をさらに深く進めていくためには「読者のモデル化(≠読モ)」が次のステップになると予想されます。
でもつかれちゃった…。
しかし残念ながら(!?)ぼくはブログというものにそんなに興味がないので(!?)、これ以上の考察はしません。それよりも家にある積読を消化したいというのが本音です。
しかし、「読者のモデル化」をするにあたってのヒントとなる本がありますので、最後にこれを紹介して終わりますね。
ひとつは群司・ペギオ・幸夫「群れは意識を持つ」です。
群れは意識をもつ 個の自由と集団の秩序 (PHPサイエンス・ワールド新書)
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個々に独立したものたちが、集団をいかにして形成されるのかという研究をしています。数値シミュレーション結果なども紹介しつつ、かなり話を噛み砕いてくれているのでオススメです。
もうひとつがその教え子にあたる西川アサキ「魂と体、脳 計算機とドゥルーズで考える心身の問題」です。
魂と体、脳 計算機とドゥルーズで考える心身問題 (講談社選書メチエ)
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これも数値シミュレーションの結果とかをポイントポイントで挟んできているところがありがたい本です。
ただ、こっちの内容はけっこうハードでこういうものを読みなれていないひとにはかなりキツイかんじなので注意してください。オススメは「キャッシュ(信頼)の受け渡し」とか「中枢の創発」という考え方で、これは今回の話にダイレクトに関与してきそうです。
ぼくからの注意はひとつ。
「こんな話を信じるなよ!」
ということにつきます。
それではみなさん、ブログの更新はくそだるいですが、100万PV目指して頑張りましょう!(白目)