楽天が電子書籍の読み放題サービス 競争激化

楽天が電子書籍の読み放題サービス 競争激化
ネット通販大手の楽天は9日、一定の金額で電子書籍の雑誌が読み放題となる新たなサービスを始め、電子書籍を手がける企業の間で読み放題にすることで顧客を獲得しようという競争が激しくなっています。
電子書籍は、インターネットからダウンロードした小説や漫画などをスマートフォンやタブレット端末で読むもので、楽天は9日、雑誌の読み放題のサービスを始めました。
会社によりますと、利用者はアプリをダウンロードすると月額380円で週刊誌や経済誌、それにファッション誌など200誌以上を読むことができるということです。
取り扱うのは講談社や小学館といった大手を含む出版社で、雑誌によっては半年ほど前のバックナンバーも手に入るとしています。
楽天の相木孝仁常務は、「電子で読む人が増えれば読書の機会も増えるので、将来的には雑誌から、商品の通販や旅行などさまざまなサービスとつなげていきたい」と述べました。
電子書籍の読み放題をめぐっては、ネット通販大手のアマゾンが書籍や雑誌などが月額980円で読み放題になるサービスを今月3日に始めました。
また、NTTドコモは月額400円で雑誌160誌以上を読めるサービスをおととし6月から行っており、契約件数は325万となるなど顧客の獲得競争が激しくなっています。

電子書籍市場をめぐる環境

出版業界の調査や研究を行っている出版科学研究所によりますと、国内の電子書籍の販売額は去年、1502億円で前の年よりおよそ31%増え、市場は拡大を続けています。
その中でも、雑誌などを読み放題とする動きが相次いでいて、サービスを提供する企業には月額の利用料金が入るほか、出版社側にはコンテンツの契約料と読み放題の売り上げの一部が読まれた回数に応じて配分される仕組みになっています。
この分野で先行するアメリカのネット通販大手のアマゾンによりますと、世界全体でみると、読み放題のサービスを利用する会員の間では電子書籍の年間の購入額が3割伸びたということで、各社は読み放題をきっかけに顧客を取りこむ戦略を取っています。
一方で、国内の紙の出版物の売り上げは11年連続で前の年を下回り、去年は1兆5220億円(-5.3%)と雑誌を中心に縮小に歯止めがかからず、出版各社は電子書籍の普及と拡大で紙の落ち込みを補おうとしています。