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翁長知事「これでは地方自治は死ぬ」

沖縄県庁で記者団の質問に答える翁長雄志知事=那覇市で2016年8月5日、津村豊和撮影

違法確認訴訟の第1回口頭弁論 福岡高裁那覇支部で

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画を巡り、移設先の名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志(おなが・たけし)知事を相手に国が起こした地方自治法に基づく違法確認訴訟の第1回口頭弁論が5日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)であり、代執行訴訟の和解成立から5カ月を経て、再び司法の場での論戦が始まった。翁長知事は意見陳述で、国の訴えを否定した上で「このような違法な国の関与により、全てが国の意向で決められるようになれば、地方自治は死ぬ。地方自治と民主主義の根幹が問われている裁判だ」と訴えた。次回期日の19日に結審し、判決期日は9月16日。

     裁判では、埋め立て承認取り消し処分に対する国の是正指示に従わない、翁長知事の「不作為」の違法性を判断する。翁長知事の処分の適法性について司法判断が初めて下されることになり、判決内容によっては基地移設問題の進展に大きく影響を与える。

     翁長知事は意見陳述で、和解成立後に国が出した是正指示の適法性を審査した、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」による「双方が納得できる結果を導き出すことが最善」との見解に言及。「県は国に真摯(しんし)な協議を求めた。提訴した国の対応は、係争委の結論を無視するもの」と批判し、国が指摘する不作為に当たらないと主張した。

     また、埋め立てによって環境破壊や沖縄の基地の過重負担が固定され「沖縄経済をけん引する観光産業は、深刻な打撃を被る」とも指摘。「知事の権限を正しく行使し、適法に埋め立て承認を取り消したもので、是正の指示を受けるいわれはない」と強調した。

     国側は訴状で、基地移設で普天間周辺住民の危険が取り除け、跡地利用で経済振興が見込めることを挙げ、前知事の埋め立て承認は「環境に十分配慮し法的欠陥はない。取り消し処分は法令違反で、日米関係に悪影響を与える」と是正指示の適法性を主張。口頭弁論で法務省の定塚誠訟務局長は「早急に結審してもらいたい」と求めた。

     争点整理では、多見谷裁判長に「違法判決が出たら従うか」と問われ、県側は「釈明になじむ事項でない」と述べた。県側は翁長知事の本人尋問のほか、名護市の稲嶺進市長ら8人を証人申請したが、本人尋問のみが認められた。

     辺野古沿岸部の埋め立てを巡っては、翁長知事が昨年10月に承認を取り消し、国が同11月、この処分の撤回を求める代執行訴訟を高裁支部に提起。高裁支部の勧告に応じ今年3月、和解が成立した。その後、国は和解に基づき承認取り消し処分の是正を指示。係争委が適否の判断を避けたため国が再び提訴した。【吉住遊】

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