編集委員・塩倉裕
2016年8月9日09時30分
■加藤陽子・東大教授(日本近現代史) 求められる「象徴」、時代と共に変化
メッセージには深い問いが内在していた。「国の象徴であり国民統合の象徴」と憲法が定める天皇の果たすべき「象徴の務め」とは何か、との問いだ。
現在の皇室典範を起草した内閣法制局は1946年末に作成した文書で、生前退位を認めない理由の一つに、旧憲法下の天皇は統治権の総攬(そうらん)者だったが、新憲法下の天皇は象徴なのだから退位の必要性はより減るはずだとの点を挙げた。天皇の役割が戦前に比べて小さくなったので、重病などの場合に摂政を立てれば退位は不要との意だろう。
だが時代は変わった。高度なデ…
残り:1622文字/全文:1890文字
有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。
お得なシンプルコース980円が登場しました。詳しい内容はこちら
新着ニュース
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
(PR)くらべてお得!