※本記事では同性愛者を「ゲイ」、異性愛者を「ノンケ」と称しています。本来の意味とは少しズレがあるとは思いますが、ご了承ください。
僕は「ゲイはノンケに告白すべきではない」と本気で考えています。
今回の記事を書くにあたって「一橋大学ゲイ自殺事件」を念頭に置いていますので、ご存じない方はリンクをご参照ください。
まず僕自身の話から。
僕は自他ともに認めるノンケです。僕は男性なのですが、これまでたくさんの女の子を好きになってきましたし、女性が接待してくれるお店でサービスを楽しむこともあります。
精神的にも、肉体的にも、女性が大好きです。
それはおそらく生涯変わることはないでしょう。
それから、僕は大学生の頃、友人だと思っていた男性から告白を受けました。
「俺はゲイだ」という告白ではなく、「お前が好きだ」という告白です。
いわゆる「愛の告白」です。
その告白を受けた時、僕は正直に言って「迷惑だな」と思いました。
「迷惑だ」と感じた理由は後に述べます。
先に言っておきたいのは、僕が「迷惑だ」と感じたのはあくまで僕の認識であって、この体験を一般化するつもりはありません。
ノンケの方でもゲイからの告白を迷惑に感じない方はもちろんいると思います。
ただ、ゲイからの告白を迷惑だと感じる人間もいることを覚えておいてほしいのです。
さて、何故僕がゲイからの告白を「迷惑だ」と感じたのかですが、理由は二つあります。
一つは、まったく恋愛対象外の人間から好意を寄せられたことに対する困惑です。
これはゲイとかノンケとか関係なく、多くの人が体験したことでしょう。
まったく興味を持てない異性から告白されても困る、というのが本音ではないでしょうか。
中には「気持ちは嬉しいけど…」と思う寛大な方もいるとは思いますが、少なくとも僕は、好きになる余地の無い人間から告白されても困ってしまいます。
ゲイからの告白を迷惑に感じた二つ目の理由ですが、僕はゲイから告白を受けた際、「俺がゲイであることは誰にも言わないでほしい」と頼まれました。
他人の人生を大きく左右する秘密。
職業上の義務でもないのに、秘密を守る義務を一方的に課せられたのが迷惑でした。
僕に告白してきたゲイと僕は同じ大学のサークルに属していたのですが、ゲイからの告白を拒んで彼と距離を取ってから、「最近アイツとつるんでないけどどうしたの?」と色んな人に訊かれました。
その度に僕は曖昧に笑って「ちょっとケンカしちゃって…」などと適当な嘘をついてごまかしていました。
僕は何一つ悪くないのに、どうして嘘をつき続けなければいけないのか。
納得がいかず、苦しかったです。
それと、ゲイからの告白以来、しばらく僕は男性が怖くなりました。
ゲイに告白を受けた際、同時に僕はゲイから「お前の身体に興味がある」という節の性的な発言も受けたので、それが心底気持ち悪かったです。
すべてのゲイが性欲の塊でないことは理屈ではわかるのですが、感覚的に気持ち悪くなってしまいました。
背の高い男性から暴力を受けたことのある人間が、背の高い人間を見ると条件反射的に身を竦ませるのと似たようなものでしょうか。
一時は満員電車で男性と身体が触れ合うことすら恐怖で、大学への通学も苦痛でした。
それから何年も過ぎた今でも、ゲイへの恐怖感は消えていません。
もちろん、僕の場合「相手が悪かった」ただそれだけの話なのですが…
ここで一橋の事件の話に戻りますが、告白を受けたノンケ男性もたくさん悩んだことかと思われます。
彼が最終的に取った「周囲へのアウティング」は誉められた行いではありません。
ですが、彼がその行動を選んだ気持ちはわかります。
知りたくもなかった秘密を一方的に明かされ、その荷の重さを背負わされ…
事件の当事者でない僕には、ノンケのアウティング行為を責めることはできません。
それだけ追い詰められていたのでしょうから。
インターネット上でゲイの告白を擁護している人の意見を見ると、「思いが抑えられず告白してしまうのはしょうがない」という言っている人もいます。
ですが、僕には「しょうがない」とは到底思えません。
たとえば僕がレズビアンを公言する女性に恋をしたとして、彼女に告白するでしょうか。
絶対にしません。
何故か。
「彼女に迷惑をかけたくないから」です。
レズビアンの彼女にとって僕は恋愛の対象にならない存在です。
そんな相手に告白されても、彼女にとっては困惑以上の感情は湧いてこないでしょう。
ですから僕は、泣いたり喚いたり叫んだり苦しんだりしながら、彼女への好意がなくなるのを待つと思います。
本当に相手のことが好きなら、なるべく迷惑をかけないよう努力するものではないでしょうか。
そのため僕は「ゲイがノンケに告白するのもしょうがない」とは思いませんし、思えません。
「それでもどうしても告白したい!告白しないとやりきれない!」と思うゲイは、周囲にアウティングされるのも覚悟の上で告白してください。
「告白はしたい、でもアウティングはされたくない」はハッキリ言って身勝手です。
告白された側に対し「アウティングしない義務」を一方的に課すのは、無理筋でしょう。
告白された側のことももう少し考えてください。お願いですから。
「他人の秘密を守る」ということの心理的負担は、とても大きいのです。
もちろん「俺同性から告白されちったよ~」と気軽に言える世の中になるのが理想ではありますが、まだそういう時世になっていない以上、告白されたノンケの心理的負担は無視できるものではありません。
ですから、ノンケを好きになってしまったゲイが取るべき手段は二つ。
①思いを隠し、告白をしない。
②アウティング覚悟で告白をする。
「告白はするけどアウティングさせない」は選択肢として挙げません。
ゲイからの告白を迷惑と思うノンケがいる以上、避けてほしい選択です。
好きな人を苦しめたいのであれば話は別ですが…
最後にもう一度、一橋での事件について触れておきたいと思います。
インターネット上では告白された側の「アウティング行為」を責める意見がたくさん見受けられます。
その行為によって一つの命が失われてしまった以上、責めたくなる気持ちはわからなくもないです。
ですが…どうか少しだけ、少しだけで結構ですので、告白された側の苦しみも想像していただけないでしょうか。
告白されたノンケ男性が何を悩み、何に傷つき、何に怯えていたか。
告白された側の気持ちにも寄り添ってほしい…それが僕の願いです。