安倍晋三首相は8日午後、天皇陛下による「生前退位」を巡るビデオメッセージの公表を受け、首相官邸で記者団に「天皇陛下が国民にご発言されたことを重く受け止めている」と語った。天皇陛下の公務のあり方などについて「陛下のご心労に思いをいたし、どのようなことができるかしっかりと考えなければならない」と語った。
首相はこれまで「事柄の性格上、コメントは控えたい」と述べるにとどめていたが、陛下が意向を正式に公表されたことを受けて見解の表明に踏み切った。政府は今後、有識者の意見なども踏まえ、国民世論の動向を見極めながら慎重に検討を進める方針だ。
天皇陛下の生前退位は象徴天皇制を定めた憲法にも深く関わる問題。憲法は天皇陛下の政治的言動を禁じているため、首相も政府の具体的な対応には言及せず、陛下がお気持ちを表明した事実に対しての受け止めを述べるにとどめた。