香港の東亜銀行は125年余りの歴史のある株式登録事業の売却先候補を絞り込んだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。物言う投資家として知られるポール・シンガー氏率いるヘッジファンドが東亜銀の株主となっており、同行の経営をめぐり圧力をかけている。

  東亜銀はトライコー・ホールディングスの売却をめざし、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアやオーストラリアのリンク・アドミニストレーション・ホールディングスなどの買い手候補に次段階の買収案を提出するよう求めた。話し合いは非公開だとして関係者が匿名を条件に語った。

  中国平安保険(集団)や企業買収を手掛ける英CVCキャピタル・パートナーズも候補として残っているという。関係者の1人は、トライコーを約8億ドル(約820億円)と評価する取引となる可能性があるとしている。シンガー氏のエリオット・マネジメントは東亜銀に対し身売りの検討を促している。

  トライコーのウェブサイトによると、同社の専門サービス提供はシンガポールでは1890年、香港では1902年にさかのぼることができる。20市場でスタッフ2000人余りを抱え、法人登記や会計、株式登録、信託サービスを提供しているという。ベアリングと東亜銀、CVC、リンク、平安保険はコメントを控えた。

原題:BEA Said to Shortlist Baring, Ping An for $800 Million Registry(抜粋)