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ストックオプションに着目、「10倍株」を探す 大化け株で稼ぐ投資家のワザ(下)

 
日経マネー

2016/8/8

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 投資家なら、株価が10倍になる「テンバガー」銘柄を一度は手にしてみたいと思ったことがあるだろう。とはいえ、爆騰銘柄は同時に急落のリスクも潜み、誰もがかなえられる夢ではない。そんな中、急成長しそうな銘柄を独自の手法で見抜き、「大化け株」で資産を数十倍以上に膨らませた投資家もいる。彼らの投資法を3回に分けて紹介しよう。最終回は、ストックオプションに着目してテンバガーを探す投資家のワザを見ていく。

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 投資家なら、株価が10倍になる「テンバガー」銘柄を一度は手にしてみたいと思ったことがあるだろう。とはいえ、爆騰銘柄は同時に急落のリスクも潜み、誰もがかなえられる夢ではない。そんな中、急成長しそうな銘柄を独自の手法で見抜き、「大化け株」で資産を数十倍以上に膨らませた投資家もいる。彼らの投資法を3回に分けて紹介しよう。最終回は、ストックオプションに着目してテンバガーを探す投資家のワザを見ていく。

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 ベンジャミン・グレアムの著書を読んで、バリュー投資を実践する個人投資家は多い。中学生で株式投資を始め、30年近い投資歴を持つ「かぶ1000」さん(仮名)も、その一人だ。

 グレアムの手法をアレンジして、独自のバリュー投資手法を確立。年20%以上のリターンを目標に掲げ、着実に資産を増やしてきた。2001年に600万円の元手で再開した株式投資の利益の累計は、約2億5000万円に達した。

■バリュー投資一辺倒を改める

 こうして利益を積み上げてきたが、2016年初から波乱相場が続き、バリュー投資だけでは、なかなか利益を上げにくくなった。そこで大きな値上がりを期待して、中古車オークションを手掛けるアップルインターナショナル(東2・2788)と、不動産会社の日本アセットマーケティング(東マ・8922)の2銘柄を購入した。

 2つとも、「株式購入権(ストックオプション)」をキーワードに発掘した。ストックオプションを活用する企業は、株価を重視して経営していると考えたからだ。

 ただ、話はそう単純ではない。日本アセットマーケティングの前身は、ジアースという不動産オークション事業などを手掛ける会社だった。赤字が続き、12年3月期には債務超過に転落。13年3月にドン・キホーテなどと資本業務提携を結び、その後、同社グループに入った。そしてドンキの店舗物件を所有して管理する会社に生まれ変わる。

  • ブログ「かぶ1000投資日記」で投資手法や運用成績を公開
 14年11月には、日本アセットマーケティングが発行するストックオプションなどをドンキが引き受けることが発表された。かぶ1000さんはこのニュースに目を付けた。

 ストックオプションなどの行使価格は148円。足元の株価は6月7日の終値で105円。早期に148円まで持っていくため、ドンキは日本アセットマーケティングへの店舗物件の移転を進め、収益拡大を後押しすると読んだ。

 一方、アップルインターナショナルが発表したのは、役員へのストックオプションの付与。全株式の2%に相当する点に着目。社長の持つ32.1%の株と合わせて会社の持ち分を全体の3分の1以上とし、買収防衛を図っているのではないかと推測した。

 そして同社を調べていくうちに、社長がタイにほぼ常駐して陣頭指揮を執り、東南アジアでの中古車オークション事業の強化に乗り出していることなどが分かった。「時価総額が33億円と低いので、10倍も狙える」とそろばんをはじく。

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(日経マネー 中野目純一)

[日経マネー2016年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2016年9月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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