2005年から12年までの宮内庁長官で、現在も参与を務める羽毛田(はけた)信吾氏(74)は、お気持ちの表明について「象徴天皇のあり方と、加齢に伴う体力などの限界について真剣にお考えになり、先々の代まで、象徴天皇の務めが安定的に受け継がれていくことを、とことん考え抜かれた末でのことだと思う」と話した。

 羽毛田氏は厚生事務次官を退官後、宮内庁次長・長官として11年間、陛下に仕えた。在任中、「お年とともに公務を少し減らしても、象徴としての地位や国民の尊敬の気持ちは変わらない、と考えることはできないでしょうか」と、進言したこともあった。だが、「天皇陛下は、国民のために体力・知力の限りを尽くして活動することが、象徴天皇の基本のあり方だという思いをお持ちだということがとても強く、伝わってきた」。

 12年3月には、天皇陛下は心臓の冠動脈バイパス手術から1カ月足らずで、東日本大震災の追悼式に臨んだ。胸に水がたまり息苦しさが残る体調だった。羽毛田氏は、そうした陛下の信念が「天皇」に対して多くの国民の共感と尊敬が集まるゆえんであり、今後の象徴天皇の地位と活動のあり方の基本だ、とも思ったという。

 昨年の誕生日会見で天皇陛下は…

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